千の夜をこえて (ページ38)

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ep.38 ページ38

-家-

碧「A…」

『…』

私は無視した

お兄ちゃんが許せなかった

母「…」

そして、律くんに何度も電話かけた

何度もLINEを送った

でも、電話に出ることもなく既読すらつかなかった

学校も何も楽しくない

一日が長くて

また暗いトンネルの中にいるようだった

～

律くんがいなくなって2ヶ月が経った

ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ

『はい…』

花「やっほー！」

薫「よお！」

ソラ「やっほ！」

『……何で？』

花「行くよ！！」

『どこに？』

花「いいから！」

〜

着いたのは試合会場だった

『帰る』

花「あーちょっとちょっと！」

『見たくない』

花「見なくていいから一緒に居るだけでいいから」

『……』

薫「碧ー！」

こっちに気づいたお兄ちゃんは手を挙げて微笑んだ

花「……」

0-0のまま前半戦が終わった

薫「お！碧きたぞー」

後半戦から入ったお兄ちゃん

でも、中々点は決めきれなかった

『ねぇ、もういい？』

ソラ「あと少しだよ……？」

『無理だよ』

私はその場を立って出ようとした

その時だった

＂碧ー！！いけー！！＂

＂決めろー！＂

決まった

薫「っしゃーーー！！！！」

花「碧ー！！！！！」

ソラ「やった！！」

碧「Aーー！！！！」

堂安＂Aーーー！！！＂

律くん……

一瞬あの日の事がフラッシュバックした

『……』

私はその場を出てトイレに行って泣いた

律くん

会いたい

会いたいよ