千の夜をこえて (ページ17)

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ep.17 ページ17

『帰ろ、お兄ちゃん』

碧「……あ、俺ちょっと監督から呼ばれてるから待ってて！」

『わかった』

試合終わりのグラウンド

いつも入ってみたいなって思ってた

『……お邪魔しまーす』

広い

こんな広い所を走ってるんだ

お兄ちゃんが初めてゴール決めた日の事を思い出した

堂安「A」

『……律さん』

堂安「今日の俺かっこよかったやろ笑」

『…はい笑』

堂安「……そのさ、付き合って『ごめんなさい』

堂安「……ぇ」

『……律さん、律さんは私の事まだ何も知らない。私の過去を知った所でありのままの私を好きになったわけじゃない。もし私と出会った時が過去の私だったら、律さんは私を好きになってないと思う』

堂安「何でそう思うん？」

『逆に、あの時の私を好きになるメリットってなに？』

堂安「……」

『…それが答えです』

堂安「違う」

『……』

堂安「俺はAといて何がメリットで何がデメリットなんか考えん。一緒におりたい。この人と幸せも不幸も一緒に分かち合いたいって思った。それだけじゃダメなん？」

『…その気持ちは一瞬。病院が再発して体が浮腫んで醜くなっても同じように言えますか？髪の毛が無くなって毎日苦しんでやせ細って子供も産めなくて感染する可能性かあるからキスもできない、会う時は感染対策させられる。

普通じゃないんだよ？ ……それでも同じ事言える？』

堂安「サッカーを辞めて。そう言われたら辞めるし、子供が出来なくてもAがいるならそれでいい。もしまたいじめられたら俺が守るし、例え髪の毛が無くなってもやせ細って立てなくなっても話せなくなってもそれでも俺は……Aを愛せる」

『……』

律さんは何も言わず私を抱きしめた

堂安「信じて俺を」

私はその言葉を信じることにした

『……泣いてる』

堂安「……え？あ……いつの間に……笑」

『……笑』

碧「……」

〜

輝「彼女はこう言いました。信じようと思った決めてはない。でも、彼が無意識に流している涙は嘘じゃないと思った。

ー