act.42(side.赤) ページ43
エレベーターから飛び出し行った彼女を呆然と見つめては、ぼんやりと。
あぁ、このままいたら迷惑だなと思ってエレベーターから出る。
「......自分がここまで堪え性のない男だなんて、思わなかった......」
壁に崩れるように凭れかかっては、自分に呆れてしまっている。
ゆっくりと彼女との距離を詰めるんじゃなかったのか。
それなのに、彼女といるという欲に駆られてしまう。
もっと知りたい、もっと触れてみたい。
会えば会うほど、知れば知るほど。
その気持ちが強くなっていく気がする。
そうして気持ちが強くなればなるほど、
自分の気持ちをなかったことにされるのは結構キツい。
だからといって、彼女に詰め寄るのだってよくないことには変わらないわけで。
やっとこの前のお詫びをしたのに、という気持ちとそれを口実にまた会えるだろうかなんて考えてしまう馬鹿な自分がいる。
「あれ、舘様!?」
「どうしたのかと思ったら、今降りて来たのか涼太」
「佐久間......、翔太......」
そういえば、今日は二人とも俺より少し遅いくらいに仕事上がりだったな......。
「え、マジでどうした?」
長い付き合いだからか、
俺が結構堪えていることに翔太は気づいて心配そうにしている。
「俺、ダメかもしんない......」
普段、メンバーであっても弱音なんて言いたくない。
そう思っていたけれど、二人の顔を見るとたまにはこんな弱音もこぼしたくなってしまった。
久々の恋愛感情に案外自分も戸惑っているのかもしれない。
「え、なに!? 涼太本当にどうしたの!?」
「もしかして、さっきエレベーターから飛び出しいった人と関係が......?」
やはり、翔太は鋭い。
どうやらAちゃんの事を見ていたらしい。
「さっきのって、涼太が主演ドラマお世話になる監督さんじゃなかったけ?」
「うん......」
佐久間は彼女と一緒に仕事はしたことないけれど、
VTR越しに会話したりとか、
それこそラウールや目黒が彼女の作品に出ていた時に楽屋で会って多少話したと言っていた。
「まあ、とりあえず。
ずっとエレベーターの近くにいるのは迷惑だし。
一旦ソファに座ろう」
俺は翔太に促されて、ロビーのソファに二人と一緒に座る。
どこから話せばいいのか、
悩みながらも前回の食事のことも含めて
二人に簡潔的に話した。
228人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時:2021年1月13日 5時