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act.40 ページ41

片付けも終わって、後は撤収するだけになった。
私の仕事も今日はこれで終わり。
帰ってまだ書き終えていない後編の候補になりそうな話を書こうかな。
そんなことをぼんやり考えながら、廊下を歩いていれば後ろから足音が近づいてくる。

「Aさん......!」
『み、宮舘さん......!?』

振り返れば、宮舘さんが早歩きで追いかけてきていた。
荷物を持っているのを見れば、急いで取りに行ったらしい。

「下までだけど、よかったら送らせて?」

優しい笑顔で微笑まれると、
嬉しさと同時に申し訳なさが苛まれる。
私はこんな素敵な人にアプローチされても、
まだ最初の元彼のことを忘れれずにいる。

『......いいですけど、前にも言いましたけど......。
そういう対応は勘違いされますよ』

凄く素敵な人だからこそ、私なんかやめてほしい。
きっと舘さんの気持ちに応えることができない。
エレベーターホールに着けば、
既にこの階に来ていたので開くのボタンを押して入る。
多少冷たい言い方をしたけれど、これで幻滅してくれた方がいい。
ファンとしては嫌われるのは辛いけど、
彼の幸せを願うならそれがいいのだから。
私は急いで閉めるボタンを押す。

「......勘違いじゃない、と言ったはずです」

そう言ってすぐに閉めたはずなのに、彼は入ってきた。
エレベーターならもうひとつ隣にも来ていたはずだ。
いや、それよりもいつどこで誰が聞いてるかわからない状況でそれを言うのはまずい。

『ちょっ......、誰かに聞かれたらどうするんですかっ!』

彼はアイドルだ。
いつどこでパパラッチが見てるとも限らない。
焦って、そう宮舘さんに言えば、
宮舘さんは私を見つめて一歩近づいた。

「今、ここには。
俺と、Aちゃん以外には誰もいないよ」
『あ......』

狭いエレベーターでは距離なんてすぐに詰められてしまう。
周りには見えないエレベーターの中で二人きり。
舘さんの今の顔は、普段テレビとかで見ている貴族な感じとも。
メンバーの前で見せる顔とも違う。
真剣でいて、目が合うだけでこちらまで熱くなってしまいそうな激しさを秘めた瞳をした、男の人の顔だ。

「俺は、もっと知りたいと思ってる。
Aちゃんのこと......」

エレベーターでは当然逃げ場もなくて、自然と壁際へ追い詰められる。
顔をあげれば、舘さんの顔はすぐそこだ。
顔を上げるな、私。
絶対に、目を合わせちゃいけない。
私なんかが手を伸ばしていいような相手じゃないのだから。

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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時:2021年1月13日 5時

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