act.4 ページ5
『ゲホッ、ゲホッ...、すみ、ませんっ。
少し待って、くださいっ』
噎せて止まらない咳をなんとか落ち着かせようにも、止まりそうにない。
とても見苦しい姿を晒してしまっている。
しかも、よりによって憧れのあのアイドル、舘様の前で。
穴があれば入りたい。
「僕が突然、声をかけたからですよね......。
すみません、大丈夫ですか...?」
申し訳なさそうな顔で心配してくれる舘様。
そんなことは無い、あなたのせいではないと伝えたい。
とりあえず、大丈夫だと伝えるように手で制するも、咳は中々止まらない。
ハンカチで口元を抑えたいが、ズボンから取り出せそうにも焦って上手く取り出せない。
そんな様子を見兼ねたのか、舘様は自分のポケットから綺麗なハンカチを取り出した。
『そん、な。
ゲホッ、使えない、です、ッ......』
あの舘様のハンカチを使うなんて恐れ多かったのだが、遠慮しないでくださいなんて笑顔で言われてはもはや断れなかった。
ハンカチをお借りして、申し訳なく思いながら口元に当てれば舘様らしい花の香りがした。
それだけで終われば、よかったのだが......。
「少し失礼しますね？」
そう一声掛けてから彼は私の背中をさすってくれた。私が早く落ち着くようにという気遣いだったのだろうが、驚いて私はビクッと体を震わせてしまった。
それに気づいたのか苦笑いする舘様。
しかし、私の背を撫でてくれる手は止まることはない。
優しい手つきのまま、彼は私が落ち着くまで撫で続けてくれた。
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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (
レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時：2021年1月13日 5時
