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act.38 ページ39

読み合わせが終わり、
片付けていれば次の仕事がないからと舘様が片付けを手伝ってくれた。
始まりも、終わりも手伝ってくれるなんて。
タッキーの教えだったり、するんだろうか。

「そういえば、今回の登場人物って全員【源氏物語】から取られているんだね?」

舘様が組立式の机を片付けながらふと私に話しかけた。

『よく気づきましたね?』
「作品タイトルが【橋の下に浮く舟】ですからね。
霧島薫が薫の君、浮田千晴が浮舟といった感じかな?」

舘様自身が源氏物語に関心があったのか、
あべちゃんに教えてもらったのかはわからないけど、
どちらにせよ正解だ。
元々の物語は源氏物語の終盤のエピソードで
【橋姫】から【夢浮橋】までの話だ。

『正解ですよ。
幼馴染兼ライバルの雨宮旬介は匂宮。
薫と旬介の死別した想い人が大橋千雪が宇治の大君。そして雪の妹で旬介の恋人の風花が中の君というわけです』
「名前に天候と源氏物語を掛け合わせたんですね。
さすがは脚本家さんだ」
『あはは、ありがとうございます』

舘様に脚本家として褒められるのは純粋に嬉しい。
なんだか、自分の仕事を認めて貰えたみたいに感じれる。

「となると、【橋の下に浮く舟】ってバッドエンドだったり......?」

普通ならそう考えるだろう。
でも、別に今作は完全に源氏物語のオマージュというわけではない。
原作がバッドエンドだからこそ、ハッピーエンドにするつもりだ。

『それは内緒です。
役者にも最後まで展開が分からない方がリアリティが出るでしょう?』

とはいえ、それを教える気は無い。
ドラマといえど、恋の行方なんて誰にもわかるはずがないのだから。
だから、役者陣に渡しているのは中盤の前半まで。
後半は後ほど渡す、といった形だ。

「さすがは名監督であり、名脚本家ですね」
『めっ名だなんて.....』
「謙遜しないでください。
あなたには十分に胸を張れる程の実力がありますよ」

さすがにここまで褒められると恥ずかしい。
一緒に片付けしているスタッフさんも年上が多いからか、微笑ましそうに見られている気がする。

『ま、まあ、世間の動きや情勢に合わせて多少は変えますけど。
結末は決まってはいるので、安心してください』
「えぇ、Aさんの元なので安心してますよ」

スタッフの前だからか多少は敬語を混ぜながら舘様に微笑まれると、
先程のモヤモヤが嘘かのように消えていった。
これは監督としても期待に添えるよう頑張らないと.....。

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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時:2021年1月13日 5時

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