act.20 ページ21
二人で駅前に向かうも、私は内心ヒヤヒヤしている。
私からすれば明らかにオーラが芸能人の舘様だから、すぐにバレてしまいそうなのに。
これだけ多いと案外わからないものなんだろうか。
「大丈夫ですか？」
『は、はい。
大丈夫です......！』
私が慣れていない駅だとわかってくれているのだろう。
はぐれそうになれば何度も止まって声を掛けながら私を待ってくれる。
やっと舘様に追いついたと思えば、今度は私に合わせてゆっくり歩いてくれる。
先程からこちらを見ている気がするけれど、どうしたのだろう。
「実は......聞き忘れていたんですが、
Aさんは付き合ってらっしゃる方いるんですか？」
『へ？』
突然の事で思考が停止する。
付き合っている人がいるか、その質問は当然Noだ。
私自身は絶賛フリーだけれど、それが一体何だと言うのだろう。
「いえ、今更ですけど......。
彼氏さんがいるなら二人で食事はまずいかなと思いまして」
ヤキモチを妬く人もいるだろうからと、付け加える舘様の気遣いも嬉しいはずなのに。
『......』
「Aさん？」
今だけは、素直に喜べそうにない。
恋愛関係の質問はどうしても、五年間の苦い思い出が蘇ってしまう。
『はは......、そんな相手いませんよ。
作ろうとも、思ってないですから』
「そう......、なんですか？」
『えぇ......』
私は上手く笑えているだろうか。
舘さんに気を使わせたくない。
それなのに、未だに心の奥深くから元彼が消えてくれない。
『そういう質問は気をつけないとですよ、宮舘さん。
女の人はそういうのですぐ勘違いするので』
「......」
少し冷たい言い方だったかもしれない。
勘の鋭い人なら、それ以上、深堀りするなという忠告に聞こえてしまうだろうから。
『宮舘さんは今人気のアイドルなんですから。
気をつけないと、すっぱ抜かれますよ？
私みたいのと噂になってもご迷惑でしょうし』
でも、これくらいがきっといい。
今まで恋愛スキャンダルがほぼなかった舘さんが私なんかと書かれてしまうのは勿体ない。
何より、私では釣り合う以前の話なのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (
レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時：2021年1月13日 5時
