act.18 ページ19
二人でゆったりと話していれば既に二時間も経過していた。
随分と楽しく話をさせてもらったけれど、舘様は本当に私から学べることなんてあっただろうか。
あまり交流は多くないけど、それこそ知り合いの俳優さんとかを紹介した方がいい気もするけれど。
『長居しすぎしちゃいましたね。
そろそろ出ましょうか』
「そうですね」
私が立ち上がれば、舘様は先に立ち上がって個室のドアを開けてくれる。
「どうぞ」
『ありがとうございます』
本当に紳士だなぁ......、流石は舘様。
こんなに身のこなしが優雅なのに、
たまにボケたりするんだもんな。
『あ、お会計っ......！』
私が机の横に入れられているはずの伝票を見ると、そこには何も入っていない。
『あれ......？』
「すみません、先にお支払いしてしまいました」
「えぇ!?」
お支払いしたって、いつの間に!?
私がトイレに行っている間とかなんだろうか。
いや、そんな事はどうでもいい。
今大事なのは舘様に払って頂いているという事実の方が問題だ。
『お、おいくらでしたか!?』
「気にしないでください。
これからお世話になる訳ですし、
ここまで来て頂いているので」
気にしないでいいなんて眩しい笑顔で言うけれど、そんなの気にしないわけがない。
『だ、ダメです！
せめて半分だけでも支払わせてください......！
そんなの申し訳なさすぎますから！』
本当は自分の分をしっかり払いたいけれど、
舘様が頑固なのはファンとしてはよく知っているところなわけで。
必死にせめて半分だけと言えば、困った顔で考えているようだ。
「そうですね......。
それなら、次にご飯を食べる時はAさんのオススメのお店に行きましょう。
その時はAさんが支払う、ということで」
ダメですか？と舘様に子犬のような瞳で見つめられては、頷くことしかできない。
『っぅ......、わかりました......。
で、でも次は本当に私に払わせてくださいね!?』
「わかってますよ」
渋々と了承すれば、舘様は凄く満足そうに笑ってご機嫌なまま出口へ案内してくれる。
スマートで素敵だけれど、やはり仕事熱心が故にスタッフさん全員にこうなんだろうか。
私だから、勘違いせずに済むんでいるけれど。
こんな事されて落ちない女性なんて早々いないんじゃないだろうか。
そう考えれば考える程、私の推しはなんて罪深い男なんだろう。
これも帰ったら、脚本のネタメモ帳に書いておくか......。
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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (
レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時：2021年1月13日 5時
