Dramatic Love【雪男/赤】

act.16 ページ17

舘様が聞き上手なおかげで、少しは緊張が解けてきた。
それなのになんでよりによって舘様、タコときゅうりのイタリアンサラダを頼んじゃうの......。
タコッ......、ダメだ、何度考えてもしょっぴーが頭をよぎる。
笑うな、私。
このタイミングで笑うのは変だし、下手すると私がSnowManのファンだとバレてしまう......。

「リゾット好きなんですか？」
『へ!? な、何でですか？』

突然、舘様に聞かれたので声が上ずりながら聞き返してしまった。
確かに、リゾットは好きな方だけれどなんでそう思ったんだろう。

「ずっとニコニコしてたので、好きなのかなと」

どうやらタコを見て、しょっぴーのことを思い出して笑っていたのをリゾットが大好物だから笑っているのだと勘違いしてくれたらしい。
ありがとう、リゾット。
おかげで思い出し笑いしてるヤバいやつとは思われなかったよ。

『はっはい！好きです！好きなんですリゾット！』
「そうなんですね、僕も好きですよ」

勘違いしてくれているならば、と勢いよく肯定して頷けば一瞬勘違いしそうになるような言い方に鼓動が早まる。
それと同時に今のボイスを同志に捧げたいという思いが溢れて仕方ない。
いや、待てよ......？

『出来るじゃん!!!!』

ドラマの脚本は中盤からのであればいくらでも修正が可能だ。
今の同じようなシチュエーションで、舘様に似た感じで言って貰えればテレビでお届けできる！
今だけは自分の職業に感謝をした。
しかし、そんな高揚した気持ちはすぐに消えた。
舘様を見ると、突然立ち上がって叫んだ私を見て固まっているようだった。

『あ......、すみません。
急にはしゃいで......。
いいネタが降ってくるといつもこうなんです......』

恥ずかしくなりながら、大人しく席に着く。
言い訳のようにいつもこうだなんて言ってはいるけれど、引かれたに違いない......。
推しに引かれるのは中々に苦しい。

「いえ、仕事熱心で素晴らしいと思いますよ」

そんな私の不安など、払い除けて舘様は笑顔で素晴らしいと言ってくれるなんて......。

「ありがとうございます.....！」

不安から、今度は嬉しさで胸がいっぱいになる。
舘様は全肯定人間か......!?
いや、でも悪いと思うものはハッキリ...というかポロッと言ってくれる気がするんだけども。
でも、それはメンバーの前だけの舘様なんだろうか。
ファンとして、SnowManとしての宮舘涼太はわかるのになあ.....。
個人になると、どうしてこんなに難しいんだろう。

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