千年恋歌【mackenyu】

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もうすっかり見慣れた大きい家。
その縁側から小さく笑い声が響いた。



まっけんと、レイラさんだった。
楽しそうに楽しそうに話している。
指輪はこの位置じゃ見えないけど、きっとつけている気がする。



やっぱり…遅かったんだ。
笑ってるなら邪魔する理由はない。
弱い心はすぐにポキリと折れてしまった。


サッ、と背を翻して森を出ようとした。



『…A？』


レ「え？」


『A、いるの？』



足は止めない。
追いかけてこなくていいからね。
婚約者と幸せになれるなら、それが一番良いことなんだから。



でもそんなあたしの思いは当然叶わず、後ろから響いてくる大きな足音。



『ねぇっ、待って。行かないで…』



距離が開くわけもなくあっというまに捕まってしまった左腕をあたしは振り払うこともできなかった。



「…楽しそうで何よりです。すみません邪魔してしまって」



顔を向けないまま。
帰りたいという気持ちが強く、早口になってしまう。



『何で…そんなこと言うの。僕に何か言いたいことあったんじゃないの？』


「いいえ。無くなりました」



やった後悔も、なかなか嫌なものなのかも。



『会いにきてくれたんだと思って…嬉しかったのに…』


レ「まっけん？ちょっと、どこに…」



あたしたちを見たレイラさんが固まった。
可愛い顔は何をしても歪まないらしい。
不公平な世の中だね。

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