好きって絶対言わないから (ページ2)

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今日も帰りを待っている

遅い遅い遅い遅い遅い

もう寝てていいのに。なんて言われるけど夜に会わなかったら

ほぼ会える時間なんてないもんだから。

最近はこんな生活だ。

同棲ってずーっと一緒に入れるって勝手に思ってた。

というか普通ならそうなんだと思う。

けど私の彼氏は普通じゃない。

彼は有名な『檜山病院』の医院長の息子

最近はお父様の体調が悪いらしく、忙しいらしい。

それでも帰ってくると、

わたしの作ったご飯をとーっても美味しそうに食べてくれて、

「おいしかった！ありがとう。」

って毎日言ってくれて、

仕事でストレスが溜まっているはずなのに

私にかまってくれて、

仕事の愚痴も吐かずに…

そんな彼を「優しい」って思ってたのはついこの前まで。

最近は「申し訳ない」って思うようになって。

ガチャ

『あ！おかえり。』

光成「今日も寝てないで待っててくれたんだ。ありがと。」

『うん。』

5秒間くらい見つめあって

光成「A、大事な話がある」

目の下にくまを作った彼が言う。

光成「もう。俺たち終わりにしよう」

目に涙を溜めた彼が言う。

光成「3年間楽しかったよ。」

目から1粒、2粒涙を零して彼は言う。

光成「明日にはこの家出ていくからさ。」

『うん。そうだよね。』

自分でもこの時が来るってどこかで分かっていたはずなのに。

『うん。そうだよね。私も楽しかった』

信じられなくて涙もでなかった

頭は真っ白のままで 3時間前に作ったご飯を温めて光成の前に出す

こんな時でも美味しそうに食べてくれる光成の姿は変わらなくて。

光成「うんっ！うまい！」

と涙を流しながら食べる光成を見て

やっと実感が湧いてきて

涙が出てきて耐えられなくなって

今日自分が作ったご飯の味も分からなくなるほど頭が真っ白になった

光成「Aはさ。俺と一緒で少しでも幸せだった？」

『うん。……幸せだったに決まってるじゃん。』

喉をキューっとさせながら振り絞った一言がこれだった。

光成「それなら良かった。」

と、泣いてるくせに無理やり笑っている光成を見るのも辛くて。

その日の夜私達はこれ以上一言も交わさずに

手だけ握って寝た。