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彼女の反応を見てやらかしたと思った宿儺。
焦る余りこの姿で現れてしまった。
どうするべきか悩んだ。
こんな姿の自分を愛してもらえるとは思っていない。
ただただ沈黙が続く。
「宿儺…さま……?」
「!」
輝夜がそう言った。
巨漢が反応したのを見て、やはり宿儺なのだと理解した。
「……すまない、別に隠してたわけではない。だが……」
「ふふ…あはは……!」
輝夜は笑った。
宿儺は何故彼女が笑っているのか分からなかった。
だが、何故か悪い気はしなかった。
「何がおかしい?」
「いいえ、おかしいことなどありません。ただ、私たち似た者同士なのかなって」
「?」
宿儺は言葉の意味が分からなかった。
落ち着いた輝夜は、フラフラながらもゆっくり立ち上がった。
全身に痛みが駆けるが、今は心底どうでも良かった。
「人々の目には私は人間としてしか認識されてないでしょうが、私も異形にすぎません」
「何を言っているのだ?」
「ふふ。死なないんですよ、私。不老不死なんです」
そう言った輝夜の瞳は何故か希望に満ち溢れていた。
彼に、希望を感じたのだろう。
しかし、全身を巡る痛みで彼女はその場に倒れた。
宿儺は慌てて彼女に近づいた。
そっと抱え上げると、痛々しい傷が目に入った。
「宿儺様!」
息を切らした裏梅が宿儺の元にやってくる。
怪我をしている輝夜を見て、たちまち顔が青ざめる。
土下座をして詫びる前に、すぐさま反転術式をかけた。
そして頭を地面につけて謝罪した。
「どんな処罰も受け入れます」
「良い。貴様がいなくなると困るからな。それに、俺にも落ち度はあっただろう」
「そのようなことは!」
「……戻るぞ」
静かに裏梅は「御意」と答えた。
___私たちは紛い物同士
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時