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私がそう言うと、男は俯いた。
「……無理だよ。非呪術師がいる時点で私は…憎しみが勝ってしまう」
非呪術師。
呪術師じゃないって人のことなのだろうけど、この人はその非呪術師と何があったのだろうか。
憎むぐらい酷いことをされたのだろうか。
「だからそれは俺がどうにかするって言ってるだろ」
「非呪術師を守るために死ぬ仲間をもう見たくはない。それに、非呪術師がいるから呪いが生まれるんだ……」
呪い?あの化け物のことか?
呪術師じゃない者が、化け物を作り出しているのか?
地球も面倒くさいものを抱えているな。
にしても、このままでは埒が明かないな。
この永遠と続く、男の言い訳に嫌気がさした。
「君はどうしたら、この世界に満足するんだ?つまりはその非呪術師を消せば良いのか?」
「……は?」
「非呪術師を消すというか、非呪術師の…呪力を消せば良いのでは」
女性がそう言う。
「分かった。余がどうにかする。お前は親友の隣で笑ってろ」
「は……!?」
私は部屋を出た。
呪力という力はなんとなく分かっている。
呪術師を見ていれば分かる。
それを他の一般人から消す。
……余に不可能はない。
「良い天気だな」
私はベルを取り出す。
私は、私がそうしたいと思ったことをする。
誰にも邪魔はさせない。
どこまでも、どこまでも、チリーンという音が響き渡った。
〜
「ここ数日の呪いの発生は片手で収まるほど。姫さん、やってくれたねぇ」
私は紅茶を飲む。
五条という男に私は呼び出された。
彼の隣には夏油という私が生き返らせたい男がいる。
あぁ、共同スペースは日当たりが良くて良いな。
「やることが破茶滅茶だね」
苦笑いしながら、夏油はそう言う。
なんやかんやあって、彼らは和解したらしい。
私はティーカップを机に置く。
「余は余がしたいことをするからな。文句は言わせないぞ。そもそも、いつまでもぐだぐだとしていたお前が悪い」
「すっごい暴君じゃん」
「…月では余に逆らうものはいなかったからな。ずっと余が玉座に座っていた。長い間上の立場にいると、傲慢になるものだ」
「自覚してるんだ」
私は頷いた。
一応自覚はしている。
自覚しなくては、あのクソ共と同じになってしまう。
私はそれだけは避けたい。
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時