多分、良い暴君 ページ25
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翌日。
欠伸をしている私の元に、一人の男が訪ねてきていた。
昨日、箱から出してやった人間だ。
「何用だ」
「君に頼みたいことがあるんだけど」
「……はぁ。まずは名を名乗れ」
「五条悟」
うーん、昨日の子供たちと接している時とは違った雰囲気を出している。
なにか重要なことを頼まれるのか?
面倒くさいことはあまりしたくないのだが。
コイツに逆らうのは少々危ないだろう。
九十九以上の力を持っている。
私でも勝てるか分からない相手。
こんな感覚は初めてだ。
「着いてきて」
渋々私は着いていく。
連れて来られたのは、薄暗いところだった。
“死”の匂いがする。
白い布で覆われているが、この下にあるのは死体だろう。
「連れてきたか」
目の下に濃い隈が特徴的な女性。
ずっと実験していた私のようだ。
女性は死体から白い布をパサリと取った。
頭と胴体が離れている。
そして、脳が抜かれている?
この男は……私が殺した相手だ。
確か、呪術師の敵なのでは?
死体を見せてきたということは、生き返らせたいのだろうか。
敵なのに?
「一時的に生き返らせることは可能?」
五条という男にそう聞かれる。
一時的?何故?
……人間の考えることは分からないな。
「対価は」
「……金ならいくらでも出す」
金か。
はっきり言って必要のないもの。
だが、地球にいる分には必要になってくるだろう。
「何故敵なのに生き返らすのだ」
「……コイツは俺の…親友だ。言いたいこともあるし、聞きたいこともある。それが出来れば十分だ」
「!」
親友。
その言葉が私の心に響く。
この男の目に嘘偽りはないな。
「……分かった。やってやるよ。ただ、時間がかかるぞ」
「構わない」
「一応聞くが、この体の持ち主の方を生き返らせれば良いのか」
「!あぁ」
驚いた顔をしている。
この男に違う人間の魂が入っていたことは知っている。
そして、本人の魂がもうこの世にいないことも。
私は二人に出て行ってもらい、術の準備をする。
まずは体の修復が先か。
そして脳を新しく作り出す。
本人の魂をあの世から呼び寄せるのには時間がかかる。
彼は“一時的”と言ったが、悪いが…そういう中途半端な依頼は叶えられない。
生き返らせるのなら、完全に生き返らせる___。
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時