例えば明日、私が消えていたとしたら【名探偵コナン】

例えば13 ページ15

千堂 怜音。

彼女が何者か、今思い出した。

降谷君と同じ公安警察からの潜入調査官だと、バーボンの正体を調べるときに出てきた。

俺が組織を抜けてから入ったらしく、顔を合わせたことはない。

本名は相澤 百花。

自分の"真実"を教えることが赦されない潜入捜査官の彼女。

名前を言うべきか詰まったことも頷ける。

「千堂さん…。今日のお仕事は？」

「今日はないんですよ。
まぁ、ハードな割に出勤なるものが少ないから休みか休みじゃないかなんて分からない。
1分後に電話がかかってきて、行かなきゃいけなくなるかも」

「それは気が抜けませんね。
報道関係でしょうか？」

乾いた笑いで誤魔化される。

「それでねー、もうすぐ人が1人消えるんです。
もう悲しいんだか、虚しいんだか」

表情が一気に暗くなる。

「それは、亡くなるということで？
事件ですか？」

こう言わなければおかしいだろう。

それに、こんなことを一般人に言っても大丈夫なのだろうか。

俺が"赤井 秀一"だと気づいているのか？

「事件みたいなことですよ。
犯行予告みたいな、殺されるって分かるものがあるんです」

まさか、ある人=降谷君なのか？

「それは警察に行ったんですか!?」

「…いいえ、言っちゃいけないんです。
被害が大きくなるだけですから」

やはり組織のことを話しているのか。

だとしたら俺のことも気づいていて、助けを求めているのか。

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