幸せ、になる方法。3

＊ ページ33

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「一つだけ聞かせて？」

『うん。』

「Aは、今、幸せ？」


答えを迷うことなんてない。



『幸せだよ。』

「そっか。よかった。」




ねえ、翔太。
君と出逢って、君に触れて、君の世界に生きて。
私の世界はこんなにも色鮮やかになったよ。知らなかった景色も、感情も、全部君からもらった宝物だよ。
私は何か君に返せたかな。
君の世界の一部に少しでも色を残すことが出来たのかな。
私たちの愛の物語は、もう紡がれることはないけれど、この人生にはまだ君が必要だから。
家族として、兄妹として、これからもそばにいてね。



見つめる先の翔太が、近づいてきておでこに唇を落とした。

おでこへのキスは、祝福。


「結婚おめでとう。ふっかと幸せになれよ。」


返事をする代わりに、頬へとキスを一つ。

親愛なる君へ。



『翔太も、幸せになってね。』

「うん。」

『これからもずっとよろしくね。』


翔太の目には涙が浮かんでいた。

だけど、もうそれを拭うことはしない。




バージンロードをパパと歩く。渡辺さん、と呼んでいたその男性をパパと呼べるようにもなった。翔太もママのことを絵里さん、とは呼ばなくなった。私たちは、本物の家族だ。



幸せになる方法なんて、ひとつじゃない。


目の前の、最愛の人の手を取って。


また、新しい幸せに向かって、進んでいく。




fin
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