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『…なんか、意地悪だ。』
「そうだよ、俺結構意地悪なの。」
『あんなに優しかったのに。』
「だって優しくしないと、好きになってもらえないっしょ?」
詐欺だ。私はイケメンの優しさ詐欺に合ってしまったらしい。だけどそれでもいいや、と思えるくらいには、どうやら彼に落ちている。
『嘘つき。』
「んは、嘘つきって。優しくない俺は、嫌い?」
狡い。嫌いだなんて、言うはずがないことを確信した顔で話しているじゃないか。
『…嫌いなわけない。』
「じゃあなに、」
『わかるでしょ…!』
「ちゃんと言ってくれないとわかんない。」
『…すき。』
「俺も。」
至極満足そうな顔をして、また腕に力を込めて抱き寄せた。心臓は未だ早鐘を打つ。
さらり、と髪を拾われ、梳いていく翔太の手。
「髪、短いのも似合ってる。」
『今?ふっかは朝言ってくれたのに!』
「うるせえ、可愛すぎて言葉失ってたんだよ!」
今度は翔太が真っ赤になる。赤ちゃんみたいに白くてすべすべの肌が、一気に赤く上気している。
『翔太って、思ってるより私の事好き、なの?』
「だったら何!」
『嬉しいなあって。』
「お前も意地悪じゃん…。」
始まった新しい関係に、また世界がぐるりと変わる音が聞こえた気がした。この時の私は、翔太がいれば何があっても大丈夫、だなんて本気で思い込んでいた。
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杏奈(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったり...素敵な作品でした!何気ないセリフだけど「馬鹿だな、俺のことはいいんだよ」にひゃーとなりました笑!はつ恋は実らない。も読んでいたのでやっぱり作者様の表現好きだなと思いました。これからの作品も楽しみにしています! (2020年7月12日 22時) (レス) id: aadbdb729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月叶 | 作成日時:2020年7月8日 0時