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一歩ずつ、一歩ずつ、私の元へ進む翔太は、もう私の目の前にいる。
そうしたら、次の瞬間、視界からは消えて、代わりに身体中を温もりが包んだ。
「私なんか、ってなんだよ。AはAだろ。自分の価値、勝手に下げんなよ。住む世界とか、意味わかんねえし、俺もお前もふっかも、クラスのやつだってみんな変わんねえよ。同じ世界に住んでるよ。そうやって線引きして逃げんな。」
耳元に響く翔太の言葉は厳しくも、その声色は優しくて温かい。全部、その通りだ。勝手に逃げて、一人でのたうち回って。目を逸らし続けていたのは、私じゃないか。
『…私、翔太と一緒にいても、いいの?』
「当たり前だ、ばーか。」
じゃなきゃ翔太なんて呼ばせるか、と言った翔太が抱きしめている腕を強めるから、私も手を回してぎゅっと抱きしめ返した。
そっと離れたら、目が合う。
翔太は、ニコッと微笑んで、それから。
−−−私の唇に、キスを落とした。
『…?!??!!?!』
「…はは、ばーーーか。人のこと悪者扱いした仕返しだからな。」
んべ、と舌を出して意地の悪い笑みを浮かべる翔太と、状況についていけないまま、みるみる体温が上昇する私。
今の、何?!
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杏奈(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったり...素敵な作品でした!何気ないセリフだけど「馬鹿だな、俺のことはいいんだよ」にひゃーとなりました笑!はつ恋は実らない。も読んでいたのでやっぱり作者様の表現好きだなと思いました。これからの作品も楽しみにしています! (2020年7月12日 22時) (レス) id: aadbdb729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月叶 | 作成日時:2020年7月8日 0時