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空き教室に入り、扉を背もたれに蹲った。
制服に染みをつくる涙は、止まらない。
初めから、期待なんてするんじゃなかった。
どう足掻いたって、最初から全部おかしかったじゃないか。
何を夢見て、浮ついて、舞い上がっていたのか。
気づいてしまえば最後だった。
ブーブー響くスマホは知らない。
きっと翔太かふっかだろう。
もう、いいよ。
そんなに私を遊ぶのが楽しかった?
『…馬鹿みたい。』
こんなことなら、好きだとか自覚したくなかった。
仲良くもなりたくなかった。
スマホの電源を落とし、今度こそ本当に静まり返った空間。涙は止まることを知らず、落ちていくだけ。
グズグズ泣いていると。
勢いよく開かれた、私がしゃがんでいる方とは反対側の教室の扉。
そこにいたのは。
「はぁ、はぁ、やっと見つけた…!!」
『しょ、おた…』
息を切らして、額にはうっすらと汗の光る、翔太の姿。
「は?!なに、泣いてんの!?」
『こないで!』
「はあ?!!お前、今日どうしたんだよ。」
ねえ、やっぱり信じたくない。
これまでも、今も、全部嘘なの?
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杏奈(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったり...素敵な作品でした!何気ないセリフだけど「馬鹿だな、俺のことはいいんだよ」にひゃーとなりました笑!はつ恋は実らない。も読んでいたのでやっぱり作者様の表現好きだなと思いました。これからの作品も楽しみにしています! (2020年7月12日 22時) (レス) id: aadbdb729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月叶 | 作成日時:2020年7月8日 0時