＊ ページ22
.
「そ、れは…」
言葉に詰まる翔太くん。
数分間の沈黙の後、やっぱり困らせてしまったみたいだと実感し、自分のした発言が良くなかったのだと後悔が襲う。
『…困らせて、ごめんね。じゃあ、お風呂入るから切るね。』
なぜだかわからない涙が、目の縁に浮かんできて、必死に堪えた。震えた声には気づかないで。
「ちょっと待って！切るな！」
慌てた翔太くんに、ギリギリ反応して電話は切らずに済んだ。
「俺、さ、結構Aと仲良くなってる、って勝手に自惚れてたんだけど、」
そう口を開いた彼に、心臓が跳ねる。
「だから、あーもう！ダサいからあんま言いたくねえけど！ふっかと仲良くしてるの、ちょっと嫌だって思っちゃったの！」
早口にペラペラと話した心の声は、思いの外可愛いもので、だけど話してくれた翔太くんに、また想いが降り積もる。
『…ふ、』
「あ、今笑っただろ？！だから言いたくなかったのにさあ…」
未だブツブツと文句を小声で唱えている。
それすらも、愛おしい、だなんて。
『ね、私も、翔太、と仲良いって思ってもいい？』
「当たり前じゃん！てか、今名前呼んだ！」
『やっぱり恥ずかしい…』
「だめ、もうこれからは、翔太呼び以外許さないからね。」
確約された、翔太呼びに戸惑いつつも、特別である気がして、私は浮き足立っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 447人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏奈(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったり...素敵な作品でした！何気ないセリフだけど「馬鹿だな、俺のことはいいんだよ」にひゃーとなりました笑！はつ恋は実らない。も読んでいたのでやっぱり作者様の表現好きだなと思いました。これからの作品も楽しみにしています！ (2020年7月12日 22時) (
レス) id: aadbdb729c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月叶
| 作成日時：2020年7月8日 0時
