仙道さんは、最強の女に夢中です。 (ページ44)

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✣ ページ44

『………。』

仙道「………。」

あ〜…

…完全にやってしまった…。

あのバス停から、駅

そして電車に揺られる現在に至るまで

一言も発していない、俺たち…

Aちゃん家の最寄り駅は

次の駅のため、

2人で乗車口付近に立っている

変な輩とかに見られてないよな？

もちろんファスナーは上げてるけど

…気が気じゃない…。

本人は扉横の壁に寄りかかり、

ボーッと窓の外を眺めている

ﾌﾟｼｭｰ…

『…仙道さん。』

仙道「はい。」

『…A…怒ってないですよ？』

仙道「………はい。」

『ジャージは…洗濯して返します。』

仙道「……ありがとう…。」

電車を降り、

Aちゃん家までの道を

2人並んで歩いていると、

不意に話し掛けられ、

思わず敬語で返してしまった…。

雨は、いつの間にか止んでいた

『………今日もありがとうございました。』

仙道「いや俺こそ……ごめんね？」

『もう良いですよ…忘れてくれれば。』

仙道「……うん……うん……」

ごめん、

それは厳しそう。((

『じゃあ、また…学校で。』

仙道「うん、学校で。」

・

・

仙道「Aちゃん」

『、…ん？』

玄関に向かい歩き出した背中に、

再び声を掛けると

優しい声と表情で

振り向いてくれた

仙道「もうすぐインターハイ予選が始まるんだ。

だから、

明日からはちゃんと部活行く。

…Aちゃんに

カッコいいって思われたいし…。

それに…

全国、目指すから。

…それで、また…

あんまり会えなくなる…。

Aちゃんは何とも思わないだろうけど、

俺的には大問題だから、

言っときたくて…。

それと、

インターハイ終わったら、

伝えたいことがあるんだ。」

俺の拙い言葉を、

ただ静かに聞いてくれていたAちゃんは

たった一言

『………試合も…その日も、楽しみにしてます。』

出会ったときのような

屈託のない笑顔で、

そう言った。