程遠い数センチの距離 (ページ3)

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ガチャ。

車のドアが開かれ、黒いキャップにマスクをつけた人が乗ってきた。

和也くんだ。

「Aちゃん、あけましておめでとー」

『和也くん、あけましておめでとー！！紅白もカウコンもめちゃくちゃよかったよ！』

「ありがとぉ。どーやった？？おれ」

『もうめちゃくちゃキラキラしててすっごいかっこよかった！！』

「そんな褒めてくれるんうれしいわー！ふら、お年玉！」

『いいの！？ありがと！！』

「ええのええの！Aちゃんはおれのかわいい妹やから！」

そう言って頭をポンポンされた。……やっぱり妹ってしか思われてないんだ。だって和也くんはアイドルだもんね……

「Aちゃん？どしたん？」

『ううん！なんでもない！ほんまありがとう！和也くん！』

それからお母さんたちが乗ってきて、わいわい話しながら家路についた。

家に着いた瞬間大きな声でただいまー！と嬉しそうな和也くん。

どうしてもさっきのことが頭に引っかかってモヤモヤする。

『ただいまー』

とよく聞かないと聞こえないような声でそのまま自分の部屋に閉じこもってしまった。

『やっぱり妹としか思われてへんのかな……』

「ただの妹だなんて思ったことないでほんまは」

『っ……！？和也くん！いつからいたの…！』

「Aちゃんが部屋に来る時についてきた」

『そ、そうなんだ……(やばい、心の声漏れてたかな)』

「俺、Aちゃんのこと一度も妹だと思ったことないで」

『で、でもさっき車の中で妹って……(やっぱり心の声漏れてた…！)』

「そら外やったし、ママたちいたから言われへんだけ」

『それってつまり……わたしのことがっ……』「待って俺に言わせて」