程遠い数センチの距離 (ページ2)

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デビューをして、さらに忙しくなった和也くんは年末年始に電話をするどころかメールすら1日後に返信することがよくあった。

小さい頃からの夢だったデビューが叶って心から嬉しく思う反面、寂しさがあった。

そんな和也くんはどんなに忙しくてもお正月は絶対に帰ってくる。

大学生になって初めての冬休み。課題もない、かと言って勉強する気にもなれなくてゴロゴロしていたとき、

[もうすぐ新大阪着くでーー]

それまでずっと静かだったスマホが光った。

(え？もうじき新大阪着く！？お部屋片付けなきゃ！)

本当はすごくお迎えに行きたいが、立場上行かない方が和也くんに迷惑がかからない。

少し散らかっていた部屋を一瞬で片付け、キッチンでご飯の準備をしながら和也ママと談笑してるお母さんに告げる。

『和也くんもうじき新大阪着くって！！』

ええー！とびっくりしながらもいそいそと迎えに行く準備をする和也ママとわたしのお母さん。

『え？ママもお迎え行くん？』

当たり前だとでもいいそうな顔で、

「Aは暇やろ？どーせお勉強せんとゴロゴロしとるんやし、和也くんのお迎え一緒に行くで」

『え、せやけど。行かへん方がいいんやない？』

和ママ「車から出なきゃ平気よ！みんなでお迎えいこ！」

和也くんの持ち前の明るさはどこから来るのか一目瞭然な気がする。