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話はついたようで、数馬くんが笑顔で頷くと富松くんは、安心しきったように話し始めた。
「実は、天女の鈴蘭はよく上級生の人とお茶を飲んでいたんです、それも毎日のように。おれも食満先輩と一緒に飲んでいました」
「そしてある日、食満先輩に委員会のことについてお聞きしに行ったときに、天女鈴蘭が……お茶になにかを入れるのを見てしまったんです。そのあと部屋に来た食満先輩は何の疑問なくその茶を飲んだんです!」
「あの、食満先輩が!?」
数馬くんも、驚いている。そんなに驚くことだろうか?
まぁ、忍者の学校だし上級生ならば、なにがはいっていることにも気づくだろうが、普段から優しくしてくれた人が盛るとは思わんだろう。
私なら、そのまま飲むだろうし……。無理もない。
「だから、上級生がおかしくなった原因としてあの薬が原因なんじゃないかと思ってる! だから! あんたのお茶は口につけることができない……」
富松くんがすみませんと、私に謝ってきた。
「いえ、こっちこそ富松君の気持ちを考えられず……ごめんなさいね」
数馬くんは驚きと共感の入り混じった表情で富松くんの話を聞いていた。富松くんが口にできないお茶の理由を伝えると、数馬くんも、富松くんに謝罪することなどはないと伝えました。
富松くん、いや作兵衛くんに悪いことをしてしまった。きっと、不安だったはずだ。自分の尊敬しているであろう先輩が怪しいものを飲まされている時点で口に何かを入れることすらトラウマになりかねない
同学年の数馬くんもいるから、勝手に医務室を抜け出して委員会活動もできないだろう。安心だ。
怪我をしてまで作業を続けようとするなんて、作兵衛くんの責任感に感心はした。だけど、私は大人だ。だからこそ、この子たちを守らねばならないのだ。
私は作兵衛くんの頭を撫でてしまいそうだった。が、私のことを警戒しているのに触れられたらどう思うかと考え空中にある手を引っ込める。
どうやら、忍たまの子たちの頭を撫でてしまう癖があるようだ。
養子の義虎のせいだろうか。どうしてもかわいく思えて撫でてしまいそうになる。
いや、自分の自己満で触れるのはよくない……。気を付けないと。
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作者名:シャビ | 作成日時:2023年12月27日 23時