10話-1 用具委員会の段 ページ40
朝陽が忍たま学園に輝き、新しい一日が始まる。門の掃き掃除をしている最中、事務員である吉野先生から声をかけられた。
「おはようございます、Aさん。今日も気持ちの良い朝ですね。」
吉野先生は明るい笑顔で迎えてくれる。手を止めて、私もにっこりと笑顔で挨拶を返す。
「おはようございます、吉野先生。朝日が気持ち良いですね。」
「そうですね。それにしても、Aさんの掃除はいつもきれいですね。」
「お褒めいただきありがとうございます。でも、これくらいのことはできる範囲でお手伝いさせていただきたいです」
吉野先生は優しく微笑みながら言います。
「そう言っていただけると助かります。ところで、今日の午後予定は開いていますか。もし開いてれば今から事務室での作業を手伝っていただきたいのですが」
「はい、わかりました」
石畳の上が綺麗になったのと、学園の正門が締まっていることを確認してほうきを片付けにいく。
事務室に行くと、これでもかと積み重ねられた書類が机に置かれていた。
その書類を、吉野先生に言われた通りに仕分けと適宜印鑑を押す簡単な事務作業だった。
「吉野先生、この用具委員会の活動についての資料はどこに仕分けるべきですか?」
「それは……私宛の書類ですね。用具委員会の顧問をしておりますので」
吉野作造先生が顧問なんだ。
「けれど、活動を見る限り今は停止しているようですが……」
「委員が三年生一人と一年生が三人ですからね。今までは上級生がいることで重い荷物なども運べたのですが……。私たちができることといえば、壁の修復や道具の整備くらいですね。Aさんも見たかもしれませんが、上級生の部屋のあたりはまだ整備もされていません」
上級生の部屋の辺りは整備されていない?
今度確認しにいってみようか。なにか上級生と天女の鈴蘭を探す手がかりがあるかもしれない。
「今は下級生が使う場所だけを主に整備しています。運動場や教室の点検などですね」
たしかに、忍術がくんを取り囲む白壁もひびが入ったり崩れそうで危ない場所もあったからなあ。手が回らないというのは、本当なんだろう。ほかの先生が不在にしていることが多い中で負担も増えたんだろうなぁ……。
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作者名:シャビ | 作成日時:2023年12月27日 23時