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「左近くんと数馬くんは先輩のことが心配なのね」
数馬くんと左近くんは一緒に首を縦にふり同意する。
そんな二人の頭を私はそっとなでる。すると二人は安心したように笑顔を見せた。
「そのうち、会えるよ。私が保証する」
そういってほほ笑むと二人はお互いの顔を見合わせて喜ぶのだった。
「にしても、薬まだつくるのね……」
「はい、伊作先輩が天女と一緒に出て行かれた際に、いくつか薬や薬草やその他もろもろ持っていかれたので、在庫がないんです」
ほう、薬草も持っていかれてしまったのか……。だから夜遅くまで作っているわけだ。
「それなら手伝ってもいい? 調合の知識はないけど薬草をすりつぶしたり整理することはできると思うの」
数馬くんと左近くんは驚きの表情を浮かべ、その後で感謝の表情に変わった。
「それは助かります! でも、今日は猪を獲りに行かれたとか……お疲れではありませんか?」
「気にしないで。みんなが早く寝れる方が大事でしょ」
私は微笑みながら医務室での薬の調合作業に参加することになった。数馬くんと左近くんは手際よく仕事を進め、私も得意な分野で手伝いながら、和気あいあいとした雰囲気で作業が進んでいった。
途中一年生二人も起きて、医務室での薬の調合作業は順調に進み、数々の薬が仕上げられた。
私も手助けできて嬉しかったし、保健委員会の子と協力し合っているうちに、なんだか絆が深まったような気がした。
「上杉さん、本当に助かりました。おかげで明日の授業も居眠りしなくて済みそうです。ありがとうございます」
「それは、よかった。はやく寝ましょう」
医務室の戸を閉めて、みんなはそれぞれの寝床に戻っていった。
学園内はもう静かな夜。明日も新しい一日が始まる前に、私はほっと一息ついた。学園の様々な問題や課題に立ち向かいながらも、こうして仲間たちとの協力や信頼が築ける瞬間があることは、何よりも価値のあることだと感じた。
その夜、私は医務室の外で月明かりに照らされながら、改めて学園の一員として、静かな夜の学園に身を委ねた。
布団を敷いて寝る準備をする。それにしても、今日はなかなか疲れた……。
私は灯りを消すと、すぐに眠りに入ったのだった。
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作者名:シャビ | 作成日時:2023年12月27日 23時