天女戦記１【忍たま】 (ページ25)

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「音をしっかり出すことを意識してみて、そうすれば少しコツがつかめてくるかもしれいない」と、Aの指導により少しずつではあるが上達していく。

　その最中、トモミたちがAの元にやってきた。

「さっきの、すごくよかったですね。私感動しました！」と、Aを褒め称えた。

　そのことに嬉しく思ったAであったが、表情には出さずに

「ありがとう」と返した。

「ねぇ、Aさんってどうしてそんなに楽器がうまいんですか？」とトモミは尋ねた。

　その問いに対してAはごまかすように、「……え～と、他のくノ一の人から教えてもらったの」と答える。嘘はついていない。
　
　実際Aは忍者の人に習ったこともあるが、武家の姫として、幼少期からたたき上げられていたため、彼女にとって花嫁修業の一環であった。A自身、大名ということを隠しているため、少女らは知るはずもない。

　少女らは言葉に納得したのか、それ以上は聞いてこなかった。

「他にできることはありますか！」とトモミが聞くと、Aはうーんと考えてから

「じゃあ、これなら……」と懐に手を突っ込む。
「なんですか？手裏剣とか苦無？それとも焙烙玉？」と興味津々の様子である。

　Aは紙と筆をさりげなく取り出した。
　筆を動かし、すらすらと、紙に和歌を書いていく。Aは書いたものを三人に見せた。

　しかし、Aに見せられたものを詠んで、トモミとユキとおシゲは首を傾げていた。

　Aが詠んだ歌の意味が理解できなかったのである。

　それを察したのか、Aは優しく解説した。
　ちなみに意味は以下の通りである。

　この世のすべてのものはいつかは滅びるもの、
　だからいつまでも変わらないものが欲しい。
　あなたがいれば、何も要らない

　それを解説すると、三人は顔を真っ赤にして俯いた。
　意味を理解したようである。
　そしてAは続けて「これは、ある殿方に送られたものだけれど……」と言い微笑む。その様子に三人はますます頬を赤く染める。

　 3人だけなく、くのいち教室からはしゃいだ声が聞こえてくるが、実際、この歌の意味は一般的には上記の意味である。