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夜風に吹かれながら、書状を書く手を止めて深くため息をついた。戦国大名の家に生まれ、豊かな環境で育ったが、それは突如として破綻した。
武家の家に生まれた私、出身は越後国。
今の日本で言う新潟県だ。
最近では日本各地のことを知るようになり、私は忍術学園があることを知った。
それ忍たま!? と驚いたのが懐かしい。
大川殿からの依頼で、天女という私と同じような記憶を持つ少女が現れたという。
その少女のおかげで、忍術学園の内情は大変らしい。
ふと、人生について振り返る。私は戦国大名の家に生まれた。しかも、国を治めるまぁまぁの影響力ある家柄。
家臣もいるし、領地運営もしている。そんなこんなで、幼少期はなんの苦労もなかった。食べ物に困ることも、衣類にも困らず恵まれていた環境だった。
そんなあるとき、後継者の兄が死んだ。兄が死んだことにより、後継者争いが勃発した。
家臣の裏切り、豪族による一揆、他国との戦に国は大いに荒れた。
ついには父も体を壊し、戦に出られるような状態ではなくなってしまった。
父が表舞台に立てなくなったことで、民や家臣は離散し国の崩壊まであと一歩のところだった。
私が政略結婚し、他国との同盟を組むという手段もあったのだが、私以外に上杉家の直系血族はいなかったため婿養子として迎えるしかなかった。
しかし婿養子が権力を持つことにより、下克上で他国に征服される恐れた父はついに、悩みながらも私に家督を譲って、後継者争いを治めようとした。
家督を継いでからというもの、兵法に外交、武術、内政などなど目まぐるしい日々を送った。
握ったこともない木刀を振り回し、戦に出て死にかけたりしながらも、数十年をかけてなんとか国の平穏を取り戻した。
忍たまの世界とは思えないくらい、ハードモードすぎるよ……。 われながら、よくやったよ……ほんとに。
だから、今回の依頼も半端な気持ちでやれば死ぬこともあるんだろうなぁ……。
「姫様、皆さまご到着いたしました」
侍女の呼ぶ声に、ハッと現実に引き戻される。
「すぐに行く」と返事をし書状を懐にしまい込み、重い腰を上げた。
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作者名:シャビ | 作成日時:2023年12月27日 23時