七色の太陽～scene２～ (ページ9)

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「お久しぶりです。」

そう挨拶されても・・・俺にはやっぱり目の前の女がアキラには繋がらんかった。
俺の知っとるアキラは、物静かでも稽古の時には俺にしっかりついてくるような、
そういう男の子やった。

似ている所と言えば、この白い肌くらい。

「ホンマに・・・アキラ？？なん？？」

ついじっと見てしまう。

「けど、アキラって男やったんちゃうの？

お前、女やんな。」

エースがぶっきらぼうにもごもごしながら聞くと、

「あの頃は・・・そうでした。」

と、静かに答えた。
俺に面を返すと、すっと肩の力を抜いて、女はまたうつむいた。

「道場は・・・女人禁制でした・・・

ガム様の側にいるためには男の子でいろと・・・ドクに言われていましたから。」

「そっか・・・でも、死んだって思っとった。」

「ええ、それは王海がそうしたのです。

ドクは実際に死んだ事になってますけれど。
私は・・・そうなってるって知ったのはほんの１年前です。」

妙な空気が俺と女の間に取り巻いて、沈黙が走る。
だって聞きたいことは山ほどあるんに、いまいち頭がまわっていかん。
生きてたことが嬉しいとかより、アキラは女の子で・・・今目の前にいるっていう
事への動揺が勝ったんやと思った。

「なぜ、王林会に仕えてる？」

マックがズバリと聞いた。

「それは言えない。」

「それは通らんやろ。

お前エースを襲撃してんねんぞ？

まして、ガムの兄貴はガムを狙っとるんやろ！？
だからあの日お前があの場にいたんちゃうのか？」

「違う！！私は知らされてない！！

あの日、私が始末するように言われたのはあなたたちじゃないわ。」

女は少しばかり声を張ると、苦しそうに脇腹を抑えた。

「そのケガ…。」

「大丈夫です。これは・・・私のミスですから・・・」

額にかいた汗は、ただの動揺じゃなく、怪我の痛みからなのかもしれん。

「・・・あんさ、どうでもええけど・・・」

「なんよジョニー。」

追及の腰を折られて、マックが少しイラッとしとる。

「名前は？あるんやろ、本名。アキラは男の子になる時の名前だったんやろ？」

いつまでも狐や可哀想やんか。

そういえば、俺もしらん。
ずっと正木アキラやと思っとったし・・・

「名前・・・は？」

恐る恐る聞いてみる。
あかん、

なんでこない緊張するんやろ。
たかが名前を聞くだけやのに。