アイツの背中 ９

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Aが俺をちらっと盗み見る。


「きっかけは？
どちらから？」


また司会の人の視線がグサグサ突き刺さる。


この人、めっちゃ優しそうやのに、
結構ぐいぐい来るねんな。



「俺からです。
もっと前からめっちゃ好きで」

うわあ。

俺、初対面の人に何言うてんねん。


Aも慌て出して。


「えっと、そうじゃなくて。
私の方が前から・・・」


あかん。

俺ら、あほカップルや。


「ではお互い想い合ってたのに、
なかなか伝えることが出来ずにいて、
夏ごろ、
忠義様の方が一歩踏み出されたという感じでよろしいですか？」


文章で説明すると、そうなるん？


「初デートはどちらかに行かれましたか？
思い出の場所などはありますか？
普段よく行かれるデートの場所は？」


A、困った顔してる。


「初デートは場所は京都です。
思い出の場所は、
二度行った京都と、
あとは長野にあるリゾートホテルのチャペルかな。
自分たちのチームで設計して、
そこで結婚式挙げたから。
デートはどこやろ。
あんまり時間なくて。
よく赤提灯て居酒屋で、
親友も一緒に飲んでますけど・・・」

正直に答えたら。

「そんなの披露宴で言ったらダメだよ」

Aに止められた。


「けど、他に思い出の場所あるん？」


「役場の階段？
あ、これもダメ。
えっと・・・
動物園かな。
付き合う前に、
甥っ子と３人で行ったんです」

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