アイツの背中 １２

８２ ページ6

「Aは？俺の事好き？」

やっぱり。

「絶対に聞くと思ってた」

「なんや、それ。
質問の答えになってへん」

「昨日の夜、たくさん言いました」

「シラフの時に聞きたいやん」

「シラフだったでしょ？
昨日、飲んでないよ？」

「そうやけど。
夜は雰囲気に酔うてるやん。
やからちゃんと昼間に聞きたいねん」

抱き合ってる時は、
夜にじゃなくて、
忠義に酔ってるの。


これも言えない。


「うんまあ。
でもお日様見てるから。
ダメだよ」

「なんでやねん、ケチ」


ちぇってして。

少し先を歩いてく背中。


抱きつきたい衝動に時々かられる。


それも内緒。


「忠義、待って」

小走りに駆けて行って、
腕につかまったら。


「顔に書いてるけどな。
俺の事、めっちゃ大好きで困ってるって」


にこおってして言ってくる。


「自惚れ屋さんなんだから。
別に困ってないよ？
忠義が・・・
全部受け止めてくれるから」


そう答えたら、急に照れてる。

どや顔して、


「せやろ？」

だって。


好き過ぎて、好きなんて、言えないよ・・・









９月に入って、ヤスくんと綾子さんの結婚式に出席するために沖縄へ。


忠義は忙しくて、
後の飛行機で来るって。

８３→←８１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す