アイツの背中 １１

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いつもなら、可愛いなあって思うのに。

だって・・・

「見てないって言ってるでしょ。
忠義だって、
りんちゃんを・・・」

あんな優しい目で見つめてたくせに。

写真なのに、
カメラの方向いてなかった。

凛ちゃんを大事そうに見つめてた。


一度見ただけの写真なのに・・・

頭から離れない。


「凛ちゃん？
凛ちゃんがどうしたん？」

忠義が聞き返してくる。


最悪だ・・・


「何でもない」

「何でもなくないやろ。
言いたい事あるならはっきり言えや」

そんな怖い顔されたら、
言えるわけない。


知られたくない。

こんな醜い嫉妬心。


「いい。
送ってくれてありがと。
おやすみなさい」


口喧嘩で一日が終わるなんて嫌。

付き合い始めてから、
喧嘩するのも初めてかもしれない。


「ちょっと待てって」

忠義が腕をつかむの振りはらって。


家の中に駆け込んじゃった。



すぐに電話が鳴ったけど。

耳を塞いだ。


きっと忠義は、ちゃんと説明してくれる。

そしたら、凛ちゃんのこと、
今よりもっと知る事になる。


知りたくない。


忠義が本気だった人の事なんて。


似てるから私を好きになったなんて分かったら。


もう、ずっと素直に忠義の気持ちを受け止められなくなりそうで。

怖い・・・









金曜日。


「じゃあ、お疲れ。
俺、めっちゃ忙しいから。
ちなみにプライベートがな！」

仕事が終わったから、
社長がやけにそそくさと出てった。

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