アイツの背中 １１

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お世辞っていうか、
ご機嫌取ってるのかなあなんて思ってたけど。


・・・りんちゃんに似てるから？


写真の忠義はどれも笑ってた。

優しくて、彼女をとても可愛いく思ってるのが伝わってきた。

あんな笑顔。


私にだけ見せてくれるのかと思ってた。









梅雨入りして毎日じとじとの日々。


高坂さんとの対決から１０日が過ぎた。


高坂さんはあれからまだ有休消化中だって。

処遇はまだ決まってない。


一度ご両親が忠義と私に謝罪したいって申し出があったけど、断った。

もう、思い出したくない。

早く忘れたい。


なのに、日ごとに、
りんちゃんの影が胸の中で大きくなってく。

あれ以来、
なんとなく、忠義の前で自然でいられなくなってること。

きっと忠義も気付いてる。

だけど素直になれない。

自分でもこんな小さいことにこだわって、
情けないって思うけど。


たまたま忠義の出張もあって、
会うのも久しぶり。


綾子さんの口利きで、
今日は、時枝タケルさんとの食事会なの。

大学時代からの憧れの人に会えるなんて。

もう、胸がばくばく。



綾子さんから、
私と忠義が建築士だって伝えてもらったら、
是非、今までに設計した図面を見せて欲しいって。

まさか意見をもらえるなんて。

緊張もしてて。

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