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オークラが振り返って、
なんか口パクで言ってる。
何言ってんだか、分からないけど、
顔が命令してる時とおんなじだからムカつく。
ん？
「待っとけよ」
そう言ったのかも。
だけどすぐ、スーツとドレスの波に紛れた。
オークラは無駄に背が高くてイケメンだから、
こんな大勢の人の中でもやたらに目立つ。
隣で微笑む、綾子さん。
よく見ると、美人だ。
いや、ぱっと見ただけで華やか美人。
育ちも良さそう。
オークラのヤツもその輪の中で、
楽しげに談笑してる。
もともとオークラはこっち側の世界の人だ。
私は違う。
こんな場違いな場所で、
似合わないドレスを着て。
惨め。
おんなじ土俵にすら立てない相手に、
敗北感なんて感じるだけ無駄なのに。
「Aちゃん、人に疲れたんちゃう？
抜けよか」
ヤスくんが笑うから。
少しだけ救われた気持ちになった。
夜の街を、知り合ったばかりの男と二人、
手に手を取り合って駆け抜けてく。
何から逃げてるわけでもないのに。
ううん。
オークラには婚約者がいること、
もうすぐ、本社に行ってしまうこと。
その現実から逃げたかった。
慣れないピンヒールで走ったせいか、
すぐにつまづいて。
街路樹の下、立ち止まる。
「ごめん。
ハイヒールやのに」
ヤスくんが謝る事ないのに。
「こんなことして、
明日またオークラに滅多刺しにされそう」
明日も休日出勤の予定だ。
「あいつ、そんなに怖いん？」
ヤスくんが目をまん丸にして驚いてる。
「うん、すごいよ。
鬼のオークラ部長って呼ばれてる」
「ほんまに？
めっちゃ意外や。
大学ん時は甘えん坊でさあ、
すぐに疲れたとか出来ひんとか、
弱音吐くタイプやってんで」
嘘でしょ。
信じられない。
今度は私が目を丸くする番だ。
けど、酔っ払った時とか、
急に甘えんたれになるのは事実だ。
「確かに、
飲んだ後は、
今でもその片鱗はありますね」
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miho(プロフ) - どのお話も面白くて毎回楽しみにしてます！次が早く読みたいです! (2017年6月10日 10時) (
レス) id: 042562a3bb (このIDを非表示/違反報告)
^o^(プロフ) - 亮ちゃんの方も読ませていただきましたが、すごいお話に引き込まれました！続きが楽しみで楽しみで！更新楽しみに待ってます。 (2017年6月7日 18時) (レス) id: 19303c9d1e (このIDを非表示/違反報告)
クララ - この先がドキドキです♪更新楽しみに待ってます(о´∀`о) (2017年6月3日 3時) (レス) id: c896e42c6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年5月30日 15時
