絡みつく茨の呪い〔八重樫剣介〕 ページ13
小さい頃から憧れてた。呪いをかけられても王子様に助けてもらえて、誰もが認める美しさを持ったお姫様に。
でも分かったんだ。どれだけ憧れても、長い髪やふわふわのスカートが似合うようになるわけじゃないって。
私はきっと、お姫様にはなれない呪いに縛られている______。
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「うっ、重い〜!!」
『貸して。私が持とうか?』
「あっ、ありがとう!」
私が荷物を持ってあげると、彼女は笑顔で言う。
とびっきりの可愛い笑顔。ああ、いいな。すごく"女の子"だ。
軽々と両手で持ち上げることの出来た荷物を見ながら、心の中でため息をついた。
私もこれを「重い」って言えたらいいのに。
両手が塞がって扉が開けられず、一度立ち止まる。
私が困っているのを見かねたのか、代わりにクラスメイトが開けてくれた。
『ありがと、ケン』
剣「どういたしまして。…王子様が困ってたら助けないとな」
王子様…ね。
私はケンに肘鉄を食らわせ、さっさと扉を通った。
剣「お前さ、恩を仇で返すなよ〜」
『は?なんの恩?』
剣「扉を開けてあげた恩」
『うわ、厚かましいー!』
ケンは笑いながら、私が持っていた荷物を取り上げてきた。
いいってば、と取り返そうとすれば「女の子なんだから重い物は男に持たせてろよ」と返され何も言えなくなった。
そうだよ、私は女。だけどさっきケンは私の事「王子様」って言ったじゃん。
ケンだけじゃない、みんなもそう。
『じゃあ半分!あんたに借りは作りたくない!』
剣「強情すぎだろ……。まぁいいや。はい、半分な」
『えっ、いや、』
剣「これどこまで?」
『しょ、職員室…だけど』
早く行こうぜ、と先を歩き始めたケンの背中を見つめる。
明らかに軽い荷物は、私を戸惑わせた。
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.PRINCESS.茨姫A いばらき
.PRINCE.八重樫剣介
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作者名:宍戸 | 作成日時:2019年1月16日 19時