【WT】小さな恋愛がいっぱい【短編集】

☆眠り姫　kn ページ29

俺の隣の席にはいつも寝ている女の子がいる。
彼女はA。
つけられたあだ名が"眠り姫"
このように呼ばれている理由としては、彼女が授業中ほとんど眠っているからである。


kn「A、もうお昼だよ」


席替えをして彼女の隣になってから、先生は俺を彼女の目覚まし担当に任命した。
要は定期的に起こすってこと。


kn「そろそろ起きようよ」


優しく声をかけるものの起きてくれない。
無理やりするか…あまり気が乗らないけど。
Aが突っ伏している机をガタガタ揺らすと、彼女はむくりと起き上がった。


『うぅ…きんとき、今何時？』


kn「今は12時30分。昼休みです」


『今日はよく寝れた』


大きく伸びをしている様子を見る。


kn「今日、俺と一緒に日番する日って知ってる？」


『知ってはいるけど、眠すぎて』


照れ笑いをする眠り姫。
その笑顔に心がドキッとする。

kn「ちゃんと放課後まで仕事、付き合ってよ」


『はーい』


そのまま2人でご飯を食べる。
仲の良い友人としてしかクラスメイトは見ていないのか、誰1人として冷やかしてこないことは幸いだ。


雑談をしたあとにふと彼女を見ていると、うとうとしている。


kn「眠い？」


『うん…ちょっとだけ』

kn「ちょっとじゃないじゃん」


そのまま無言で見つめていると、やがて眠り姫から規則正しい寝息が。


「眠り姫、また寝たの？」


クラスの男子に話しかけられる。


kn「そうっぽいね」


「よく寝るよね、本当」


その言葉に曖昧に相槌をうつ。


「何でさ、学校に来てこんなに寝るんだろうな」


確かにその理由は聞いたことがなかった。
言われてみれば何故だろう。
ミステリアスなAのことがもっと知りたくなった。


『きんとき、日誌書き終わったよ』


kn「俺ももう少しで黒板掃除終わるから」


『じゃあそっち手伝うよ』

近くに駆け寄りクリーナーを手に持つ。
端っこ同士から徐々に真ん中へ綺麗にしていく。


今なら…聞きやすいかな？

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