キューピッド ページ9
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「あー、マジ大人って面倒臭いね。いいな、俺も高校生に戻りたい」
「……それは大変ですね。あと、私はまだ中学生です」
「そうだったそうだった」
適当に相槌を打った彼は、どこからか取り出してきた焼き鳥を口に運んだ。
何度か咀嚼を繰り返し、一通り口の中のものを飲み込んだところで、彼は残りの肉を口に放り込もうとした
が、
「……あ、いる？」
急に食べ掛けの串を差し出してきた。
「お気遣いありがとうございます。しかし、私にはコレがあるので」
「コレって？」
ポケットから、真空パックで包まれた『
「うわ〜懐かしい！俺も昔食べたことあるよ」
「学校から支給される食糧以外は、常にこれです」
「エッ。それ、クッソ不味いよね？不味すぎて死にそうに訓練した後にしか食べれないやつ」
「私には『味』が分からないので、問題はないです」
厚さのないクッキーのような見た目をしたソレを口に入れると、噛み砕く度にサラサラと砂のように細かい粒になって喉を通っていった。
おふくろの味、だの、手作りが美味しい、だの、そんなものは知らない。
私のような人間は、それを知る権利はないから。
「えー…つまんなくね？もっと未来を楽しみに、とか。
そういうのないの？」
「私が『普通の子』のような暮らしが出来るのは、義務教育のある中学までです。
高校は行きませんし、その先はまた、いつものように
「…ふぅん。ねぇさ、A」
「はい。なんでしょう」
「君、ちゃんと
「えぇまあ。『普通の子』は演じていますし、表情をつくる訓練もされていたので」
「……これって天然とか何か？」
「はい？」
食べ終わった焼き鳥の串を袋に仕舞い、立ち上がった彼は私の目を見て笑った。
「君もいつか、ちゃんと笑える日が来るよ」
「感情は不要だと、あれほど……」
「まぁ、きっと未来の君は『幸せ者』になっているよ」
意味のわからない言葉を残して、彼は赤い羽を羽ばたかせて黒い空へと舞った。
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瑞樹(プロフ) - この作品大好きです！ 更新を楽しみにしています！ (2022年12月8日 20時) (
レス) @page39 id: 92b8932be0 (このIDを非表示/違反報告)
フユフユ - これ最後夢主ちゃんとかも幸せになって欲しい (2022年6月26日 21時) (レス) @page29 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
むらかみ。(プロフ) - 新作待ってました！前作楽しませて読ませていただきました！！突然で申し訳ないですが、イメ画描かせてもらってもよろしいでしょうか？少し遅くなってしまうかもですが…(失礼)更新頑張ってください！！応援してます！！！！！ (2021年12月29日 20時) (レス) @page6 id: 49021efb12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - あのさん» ありがとうございます！！！頑張って更新進めていきま〜す！！！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: 3af9d9c4f9 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 新作ですね！前作では完結おめでとうございます！(遅い)更新待っております！ (2021年12月12日 18時) (レス) @page15 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきや | 作成日時：2021年12月8日 19時
