代償 ページ37
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「……私の『個性』は、焦凍が火傷を負ったその日、まさにその時に初めて発動した。
あの時、嬉しくて。もうお父さんに捨てられることなんてなくなる。
そう思って みんなの所にいったけど、もう、家族が崩壊してた」
無意識に、俺は左の火傷に触れていた。
「あの時、『嘘』をつくことを決めたよ。
私は『個性』を使えないって。
そうしたら、お父さんと私の接点がなくなるって考えた」
「俺を…売ったっていうのか。親父に」
いつの間にか、自分の左側は氷から解放されていた。
「…違う。
私はただ、壊れたこの家からお母さんを孤立させない為の、
焦凍から離れるつもりはなかった。寧ろ、お母さんの代わりに守ろうとしたよ」
言われてみればそうだった。
火傷を負った後も続いた親父からの暴力から、いつもAは身体を張ってくれた。
ボロボロになったって、気絶したって、何度も守ろうとしてくれていた。
「こうやって…裏切ると、後で良心の呵責に苦しむことになる。
そんなの、分かってたよ。分かってたけど……。
あの時の私には、この選択肢しかなかった」
震えた声が、俺の何かを締め付けた。
身体が酷く冷たく感じたのも、恐らくAの『氷』だけじゃないと思う。
「小さい頃の私は、焦凍と一緒にヒーロー目指してた。
けれど、この家が『普通の家族』になれるのなら、私は何だってしようと思ったよ。
夢を諦めて誰かが救われるのなら、それで充分。
だから。ずっと隠して、隠して……隠して。
＿＿＿＿＿でも、結局は失敗しちゃったな」
凍っていく、Aの左側。
いつもよりもずっと小さく見えるその姿。
俺は、何とも言えない気持ちになった。
「全部失敗しちゃったよ。
この、9年間。全てが無駄になっちゃった。
もう、私には何も出来ない。終わりなんだよ」
Aを孤独という世界に捨てられたのは、親父だけのせいじゃなく、
俺のせいだということに、また苦しくなった。
ごめん。ごめんな、A。
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名無しさん(プロフ) - ゆきやさん» ありがとうございます！頑張って下さい！ (2021年9月11日 9時) (
レス) id: 973d1bdfc4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - さくらんぼさん» うぇぇえええい↑↑↑この先からの展開がメインなので、新章でもよろしくだせ〜！！！ (2021年9月11日 9時) (レス) id: 4e91871b88 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - 名無しさんさん» あぁごめんなさい！新章はもう少ししたら上げる（準備中）なので、少々お待ち下さい。ごめんなさい！！！！早く準備終わらせてきます！！！！ (2021年9月11日 9時) (レス) id: 4e91871b88 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 突然すいません！うらつく初めて歯が浅いのでわからないことが多くこの作品のパスワードがわからないのですがお聞きしてもいいですか？お願いします！ (2021年9月10日 23時) (レス) id: 973d1bdfc4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆきやよ、君の作品は世界二に俺は大好きだよ。世界一はもちろんゆきやだぁ！！(例の茶番です)題名の伏線(？)大好きっす！ (2021年9月10日 23時) (レス) id: e98feceda5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきや | 作成日時：2021年8月19日 17時
