飛ぶことをやめた日 2【白鳥沢】

再会 ※11/14追加 ページ10

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サーブ権を握った私たちのチームに、ボールが渡された。





「一本ナイッサー！」


2年WS(ウィングスパイカー)の天内叶歌が、ボールを受け取ってラインの外に出た。




あれ、この人って………まさか





『新山女子の……！』



女子の中では高めの身長。黒髪のボブカット。

間違いない。全国大会に連続で出場している新山の次期エースとして注目を浴びている、あの人だ。




ボールが高く上がり、スピードの速いサーブが向こう側のコートの床に打ち込まれた。





「サービスエース！」


「ナイス〜。さぁもう一本！」




この人のプレーを間近に見られるなんて、公式戦以外にないぞ。

滅多に見られないだろうし、言い方悪いけど、彼女のいいところは盗めるだけ盗もうか。





「上がった！」


「私、取ります」



少し崩れたが、向こうのレシーブが成功。


セッターの手に、吸い込まれるようにしてボールが収まる。





「北田さん、お願いします！」


スパイカーは一人。囮はいない。



私はネット前に移動し、早まる気持ちを抑えて、少し遅めのテンポでブロックを飛んだ。

すると、面白いくらい想定通りにスパイクが私の腕に当たった。





「おぉ！ナイスブロック！」



同じチームであるセッターの瀬戸さんから、背中を強めに叩かれた。

思っていたよりも大きな音が出た。





『……ありがとうございます。

けど、今ので向こうの皆さんに火がついたらしいですよ。多分次からは止めさせてくれないでしょうね』





境界線(ネット)を越えた先には、静かに闘争心を燃やした選手が、目を大きく見開いて構えていた。






" みんなそれぞれプライドがあるからさ、自分が一番だっていう意志が強いのに "


ここに来る前、高橋さんに言われた言葉を思い出す。




自分がブロックでスパイクを防いでしまったことを、一瞬だが後悔してしまった。

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