すれ違い勘違い ページ4
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『ふぅ………』
見慣れない人が多く行き交う中で、私は一人で深呼吸をする。
若利たち高校3年生のクラスが並ぶ廊下を歩いていると、通り過ぎる何人かの生徒にじろじろ見られた。
目的地である教室に辿り着き、休み時間ということで大きく開放されたままの扉から ほんの少し中を覗く。
「ごめん、私のくじ運が悪かった……」
「まぁどっちにしろ新山女子と戦うのは毎度のことですし、大丈夫ですよ!」
「勝ち上がれば準々決勝の相手ってことですか?」
「そうそう」
来るタイミングが悪かったのか、教室には3年だけではなく2年もいた。
私が中学の頃同じレギュラーだった先輩たちばかりが集まって、春高予選について話しているようだった。
急に怖くなってきた。
何も声を掛けていないし、今ならまだ引き返せる。
そう思って背を向けた瞬間、後ろから大きな声で呼ばれた。
「え゛っ、Aちゃん!?」
顔を見なくても分かる。この声は3年生の主将の先輩だ。
「わ、ほんとだ!」
「捕まえろー!」
逃げようか振り返ろうか迷っている間もなく、私は腕を掴まれて教室内に引き摺り込まれた。
『えっ、え………え、』
心臓が煩いくらいバクバク鳴ってる。
やばい、何て言えばいいかわかんない。
セリフでも書き出して暗記してくればよかったか。
でも、そんな考えなんか不要だったことに、すぐに気づいた。
「どうしたA、また入りたくなったか!?」
「いつでもどんどこい!」
「ねね、怪我の具合はどう?今の調子は?」
「そういえば牛島から聞いたよ!あんたユースに選ばれたんだって?」
「えぇ!?そうなんですか!私聞いてないです!!」
一気に囲まれ、みんなが思い思いのことを口にするせいで、誰が何を言っているのか理解不能になってきた。
でも、さっきまであんなに緊張していたはずなのに、気づいたらすごく落ち着いていた。
" お!君、牛島の幼馴染の子でしょ! "
" きゃー!!かわいすぎ〜!! "
" 1年生とか存在が天使だよね "
" 強いやつが来るって噂聞いてたからさ、入部してくれて嬉しいよ! "
" わぁ、ついに私もセンパイかぁ…! "
中学1年生の頃に入部した時と、同じような感じだった。
すごく明るくて、楽しくて、温かくて
とても、懐かしかった。
「うぅっ………Aぢゃん…!」
「英太くんキモチワルイヨ」
「ちょっと白布さん、押さないでください!」
「お前がデカいのが悪いんだよ」
「うるせぇお前ら、聞こえちまうだろ!」
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ゆきや(プロフ) - ワカさん» 本編を最後までお読みいただき、ありがとうございました!喜んでいただけてとても嬉しいです!!ワカ様もどうぞお身体にお気をつけてください。 (4月6日 17時) (レス) id: 0a45871910 (このIDを非表示/違反報告)
ワカ - 私もハイキュー大好きで、これ読んでたら自然に涙が流れて来ましたwでも、それくらいこの作品は魅力のある話だと思っています。今後共体に気おつけて頑張ってください!!この作品ではお疲れ様でした!(´;ω;`)ウッ… (4月4日 17時) (レス) @page50 id: 98e979a673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - 神無月さん» コメントありがとうございます!ハイキューは本当に奥が深い作品ですよね、!!同じ気持ちの人がいて嬉しいです (1月17日 21時) (レス) id: 0a45871910 (このIDを非表示/違反報告)
神無月 - 面白かったです!やっぱりハイキュー最高ですね! (1月9日 16時) (レス) @page50 id: f275669b86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - るれろさん» わかりにくくてすみません!ネタバレさせてしまって申し訳ないて゛す……。第一章からゆっくり楽しんでいただけると嬉しいです!! (12月4日 17時) (レス) id: 270ca5dafb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきや | 作成日時:2023年11月11日 15時