迷子の子猫 ページ17
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「オーライ」
「Aちゃん、入ってきて!」
『はい!』
瀬戸の上げたトスの最高到達点に、Aの手がドンピシャで当たり、強力なスパイクが打たれた。
「成宮、この数日で随分成長しましたね」
腕を組んでにこやかに試合を観戦している監督の横に、高橋が座った。
「男子ネットで練習すると言ってから、以前よりも高い位置でスパイクを打つようになった気がします」
「気のせいではないと思うぞ。
今まで自分の中で無意識にかけていたストッパーが外れたことで、自由に飛び回ることができるようになったんだ」
ブロックでワンタッチをした後、すぐに後ろへ下がり、助走をつけてスパイクを打つAの姿を、2人は視線で追った。
「向こうでどのような練習をしていたんでしょうか」
「ははっ!それは本人に聞いてみるといいだろうね」
タイマーが
シューズが擦れる音やボールが跳ねる音が一気に止み、体育館は静けさに包まれた。
「ナイスキーだったね、Aちゃん」
「この前よりも良くなってる気がする」
『ありがとうございます。皆さんが相談に乗ってくれたおかげです!』
チームメンバーと一人ずつハイタッチをしていたAだったが、彼女は突然思い出したのか短く声をあげた。
『はっ……!テーピングだ!
今日なんかおかしいと思ったら、いつものテーピング忘れてました』
「え、それ今気づく?」
『すいません、取りに行ってきます。すぐ戻りますので』
「ゆっくりでいいからねー!いってらっしゃーい」
猛ダッシュで出ていこうとするAに向かって天内が叫ぶと、彼女は早歩きにギアチェンジしてそそくさと体育館をあとにした。
『ふん、ふふん…ふ〜ん……』
鼻歌を歌いながら、長い廊下を進む。
今は冬休みだしどうせ私たち以外誰もいないだろう。
そう思って上機嫌にスキップしていると、曲がり角で突然何かにぶつかった。
『ふぎゃっ!?』
「お」
ぶつかったモノが声をあげた。つまり、相手は人間。
ぶつけた鼻を手で覆ってAは顔を上げた。
『すいませ……………えっ、影山くん!?』
「Aか」
『何で君がここに』
「便所行ったら、帰り方分かんなくて」
『ここ2階だよ?君たちの場所は3階だよね?』
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ゆきや(プロフ) - ワカさん» 本編を最後までお読みいただき、ありがとうございました!喜んでいただけてとても嬉しいです!!ワカ様もどうぞお身体にお気をつけてください。 (4月6日 17時) (レス) id: 0a45871910 (このIDを非表示/違反報告)
ワカ - 私もハイキュー大好きで、これ読んでたら自然に涙が流れて来ましたwでも、それくらいこの作品は魅力のある話だと思っています。今後共体に気おつけて頑張ってください!!この作品ではお疲れ様でした!(´;ω;`)ウッ… (4月4日 17時) (レス) @page50 id: 98e979a673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - 神無月さん» コメントありがとうございます!ハイキューは本当に奥が深い作品ですよね、!!同じ気持ちの人がいて嬉しいです (1月17日 21時) (レス) id: 0a45871910 (このIDを非表示/違反報告)
神無月 - 面白かったです!やっぱりハイキュー最高ですね! (1月9日 16時) (レス) @page50 id: f275669b86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - るれろさん» わかりにくくてすみません!ネタバレさせてしまって申し訳ないて゛す……。第一章からゆっくり楽しんでいただけると嬉しいです!! (12月4日 17時) (レス) id: 270ca5dafb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきや | 作成日時:2023年11月11日 15時