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最後のチャンス10 ページ20

松田さんが私のことを好き!?

でも、好き"かも"って言ってたし……


「どうしたんだよ、そんなにポカーンとした顔して。」

普通、好きな人からそんなこと言われたら、驚くに決まってる。

けど、松田さんは私が好きだってこと知らないもんなぁ。

そういや、告白しなきゃいけないんだった。
あの松田さんの告白のせいで、そのことすらも忘れかけていた。

「松田さん、観覧車乗りません?」
「どうしてだよ。」
 
どうしてって言われても、そんなの考えてなかった。
それより、松田さんの告白のほうがどうしてって感じなんですけど。

「夜景が綺麗だと思って。」
「まだ夕方だぞ。」
「夕焼けを見たいなぁと思って──」
「もう沈みかけだぞ。」

何と間が悪いのだろう。
どちらでもないとは。

「いいから、乗りに行きましょっ!」
「お、おい!引っ張るなよ!」

私は松田さんの腕を掴み、そのまま観覧車へと向かっていった。

ほぼ、強制的な感じだけど、こうでもしないと乗ってくれなかったら困る。

この時間帯は乗る人が少ないのか、すぐに順番が回ってきた。

「さぁ、乗りましょう。」
「ったく、仕方ねぇな。」

松田さんはちょっと呆れた様子だったけど、一緒に乗ってくれた。


さて、何を話そう?

告白は頂上まで行ったときにすべきでしょ。

あとは世間話とか?

一体、何を話せばいいというのだろう。

やっぱ、あの"好き"ってことについてかな。

「松田さん、好きかもってどういうことですか?」
「いきなりそれかよ。」
「だって気になるじゃないですか。あんなこと言われたら。」
「そのまんまだよ。」

そのまんま……?

じゃあ、松田さんは私のこと好きってこと!?

しかし、私の考えはすぐに撤回された。

「Aといたら、飽きねぇし、見てて面白いし。ある意味すげぇって感じでよ。Aといるのも悪くないって感じで、同居人としてはそういうところは重要だしな。」

そ、そっちの感じ?

なんだぁ、恋愛の好きってわけではないってことね。
薄々気がついてたけど、やっぱりそうか〜。

でも、松田さんからそんな風に言われたら、嬉しくて舞い上がっちゃいそう。



その後の観覧車の中ではシーンとした空気が流れていた。

買い物が長引き、昼食も遅くなったせいで、日は沈みかけていた。

徐々に、街の明かりが目立っていき、夜景のときとまではいかなくても、明かりは十分光り輝いていた。

そして、ついに一番上になりかけた。


告白──

そうだ、今だ!


「私、松田さんのことが好きです!」

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作者名:sena | 作成日時:2022年2月24日 22時

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