蝉とけい‥みんなしわわせ。(ymxin)蝉シリーズ(５)

＝“う”・５＝ ページ5

「おまけにさ・・・・。」

っと、オレは笑顔でバーさんを見て

「オレが帰って来た時・・犬が居た場所さ・・」


「場所・・・？」



「ああ。ビルの入り口の横＿＿＿＿
　けいが、うずくまって倒れてたトコなんだ。
　あん時もオレ・・いつもなら気にも留めないのに
　部屋に抱えて連れて帰って・・で、今があるんだ。
　なんつーか、これも何かの縁かなぁって思ってさ。」


「ふふふ・・。
　蝉さんは、優し〜い人ね・・。
　・・けいちゃんが起きて、それ聞いたら
　んふふ。とっても喜ぶわねぇ〜〜。」


「ああ・・ほんと。
　今日は本当にありがとうな。バーさん。」



「いいのよ。ふふ、じゃあね。」


「ああ、気を付けて・・
　本当に、ありがとう＿＿＿。」


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



オレは、バーさんを玄関で見送ってから

ベッドに静かに近付いて、腰掛けた。



けいを見つめていた犬は

オレを、ジッと見つめる＿＿＿＿。



オレは犬に笑顔を向けて、

当たり前の様に話し出す。


「・・なぁ、犬。オレの家に来いよ。
　オレと・・けいとねこの面倒
　一緒に看てくれないか＿＿＿＿？」


何か、通じる気がして

目を見つめ犬に語り掛ける。



犬は、気のせいか分からないけど

ゆっくりと瞬きをして、

コクリと頷いた気がした。


『世話になるよ・・此処で。』

って言っているみたいだった＿＿＿＿。



オレは、そっと犬に近付いて頭を撫でて

手の平に温かなぬくもりを感じながら

犬に笑顔を向け



「これから、
　よろしくな・・相棒。」



犬はオレを見つめて

ピンッと大きな耳を立て

オレの手をペロッとなめた。


「ふふ＿＿＿＿＿。」


けいが、いつもの様にパチッと目を開けて

オレを見つめ、口をんってしながら

急いで抱き着いて来て


「せみぃぃぃ。」



と言って、またしくしく泣いて

オレは、けいの背中をポンポンして

「けい、泣くなよ・・。」


「ん。せみ・・
　ごめんにゃ、さいぃ。う―――。」


「けーい、ほら・・泣くなよ。
　犬に泣き虫だって思われて
　恥ずかしーぞ。」


「ん〜〜。なきむし。ちがうのっ。」


けいは、目をごしごしと拭って


「わんわん。けいのよ。だぁめっ。」


と、また頑固に言って

犬に、ぎゅーっと抱き着く。




オレは「ふふ。」と笑って

けいの頭をポンポンしてから


「・・けい、分かったよ。ふふ・・。
　な、けい・・この犬な今日からウチの子に
　なるんだ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。」

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