【オリジナル】とりあえず結婚した。【男主】

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『昼ご飯いる？』
「んーん。今日は向こうで弁当出るみたい」


悠介の人気はうなぎのぼりで監督の目にとまり、つい先日映画の主役に抜擢された。無口な役らしいし、一瞬演劇部だったし大丈夫だろう。

多分これからもっと人気になっちゃうんだろうな。

いや、なっちゃうって何。
まるで悠介が人気になるのが嫌みたいな。


______ん？


俺って嫌な奴だったのか？嫉妬みたいじゃんな。

いや、夫婦(？)だから嫉妬してもおかしくないのか？いやいや夫婦(？)だけど恋人っぽくはないし。てか「好き」って言われたことも言ったこともないような。


「…どうした？」

『えっ、いや、何でもない、ケド？』


結婚って好き同士でするもんじゃないんだろうか。悠介は何で俺と結婚したんだろう。俺の事が好き？じゃあ、俺は悠介が好き？

うーん。分からなくなってきた。

催眠術かけるなら一生かけてて欲しかった。「俺は悠介のことが好きだ」ってハッキリしてたら、こうして悩むこともなかったんだよ。



「 A 」



顔を上げたところで、ずっと下を向いていたことに気がついた。

悠介は既に撮影に行く用意を終えている。



『あ、ごめん。行ってらっしゃい』


悠介が手を広げて、俺がそこに抱きつく。ギューッとキツく抱擁を交わしたら、


『んぅ…っ…』
「____ん、行ってきます」


長いキスをして、別れを告げる。

多分新婚からずっとやっている日課だ。多分というのも、いつからやっているのか分からない。これも催眠術のせい？いや、他のが催眠術のせいと決まった訳じゃないんだけどね。



悠介のが触れ合った自分の唇を撫でながら、悠介がさっき出て行ったドアを暫く眺めた。




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