＊ ページ15
さっきの路地よりも狭い、
細く暗い道に大介を連れて。
さっきあんな被害に合ったばかりの大介には
細くて、暗くて、
物音もしないここが怖いかな。
阿「大介。」
佐「...阿部ちゃん先生、」
阿「“亮ちゃん”って言ってよ。」
佐「でも、」
阿「大介、俺から逃げようとしてるでしょ。」
大介の大きな目に、たっぷりと涙が溢れる。
佐「そんなこと、ない。」
阿「嘘は嫌。隠されるのも嫌。」
いつも大介が言う言葉。
たち悪いの分かっていながら言えば。
佐「...亮ちゃんの意地悪。」
阿「大介。」
コツン、と俺の胸に頭を預けてきた大介を
最大限の優しさで抱きしめる。
必死で泣く君は、やっぱりどこか
赤ちゃんみたい。母親から離れたら
死んじゃうとでも思っているような。
...自惚れかな。
阿「守れなくて、ごめん。」
一生懸命首を振るから、
その頭を抑えて撫でてやる。
阿「大介、」
佐「なにっ...。」
阿「上書きさせて？」
大介は緊張したように俺を見上げる。
まだまだ初だな。怖くないようにと、
その白い頬に触れれば大介は
長い睫毛を下ろしてそっと目を瞑った。
その顔が本当に赤ちゃんみたいで、
それでいてあまりにも美しくて。
俺は惹き寄せられるようにキスをした。
まだ3回目の、大介の唇の感触。
次のキスがいつかも分からないから、
必死に記憶する。
でもこんなに、ふんわり優しい感触、
記憶に残すには儚すぎて。
雲のように消えていってしまいそう。
ミルクの匂いが肺を満たす。
香水とは比べ物にならないほど、
胸がはちきれそうなくらい...。
名残惜しくもそっと離れて見た君の表情、
さっきよりも幾らか穏やかに見えたのは
きっと気のせいじゃないよね。
大介は弱々しく笑うと、右手の
親指と小指だけ立ててそれを耳に当てた。
「夜、電話でね。」って、
前に俺がやったように。俺は頷いて、
もう一度だけ大介の唇に自分の唇を合わせた。
触れるくらい、一瞬だけ。
その日の夜は、電話越しに大介を抱き潰した。
だって大介が、
「壊れるくらいに愛して？」なんて言うから。
どこでそんな言葉覚えたの。
大丈夫？浮気してない？心配になるよ。
離れたくないくらい、失いたくないくらい、
守りたいくらい、触れたいくらい、
壊したいくらいに愛してるから。
＊壊したい【あべさく_*】
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ほんちゃ(プロフ) - あこさん» “糖度激甘”になっているか自信はございませんが...、お楽しみ頂けることを祈っております。「Puppy」というお話でございます。(^-^) (2020年9月14日 7時) (
レス) id: 57b7bcd659 (このIDを非表示/違反報告)
ほんちゃ(プロフ) - あこさん» リクエストありがとうございます！お応えが遅くなってしまい、申し訳ございません...。頂いたリクエストですが、『夢雪【Snow Man短編集】�掘戮諒�でお応えさせて頂きました。そちらの方でご覧頂けると幸いです。 (2020年9月14日 7時) (レス) id: 57b7bcd659 (このIDを非表示/違反報告)
柿ちゃん(プロフ) - リクエストお願いします！あべさくで佐久間くんが電車でセクハラを受けていてずっと黙っていたのですがあべちゃんが気づいて助けるお話お願いできますか？お願いします！ (2020年5月21日 23時) (レス) id: 2656a3babb (このIDを非表示/違反報告)
しゃけちゃん(プロフ) - やっぱり大好きです……。ほんちゃさんの使う言葉がとても綺麗で大好きで、読む度にこっちまで胸が苦しくて涙が出てきます…。ぜひ2年後2人が幸せそうに並んでいるお話も見てみたいです！！リクエストゆっくりで大丈夫です！次更新も楽しみにしています。 (2020年5月19日 23時) (レス) id: e1e18d5b19 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい(プロフ) - 初めまして。いつも楽しみに拝読しています。本日の_*に思わず涙が溢れてしまいました。お互いが1番だからこそ守り合う2人が健気で（泣）2人の未来（続き）楽しみにしてます。もちろん他の作品も！お忙しいと思いますが頑張ってください。更新楽しみにしてます。 (2020年5月19日 13時) (レス) id: 91a4fb01f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんちゃ
| 作成日時：2020年5月11日 8時
