◇★ ページ8
「…どうしたの、晴矢君」
「…お前、楽しいのか。知らない奴らとずっと一緒にいて」
「…でも、私の家はここしかないから」
「…こんなとこ、俺の家じゃない」
晴矢君が隣に座った。私は本を閉じて、抱え込んだ。お母さんに買って貰った、大事な絵本。
私だってまだ、お父さんとお母さんのことを忘れられていないから…時々、すごく寂しくなるんだ。
「俺…帰りたい。父さんと母さんに…会いたいんだ」
「…どうして、私に話してくれるの？」
「…お前なら聞いてくれるから」
「私だけじゃない。皆優しいから聞いてくれるよ」
「ほっとけないって…お前、言っただろ」
晴矢君の声は、膝に顔を埋めているからこもっていた。けど、私は晴矢君の声が嬉しかったんだ。
少しだけ、私のことを家族だと思ってくれたのかなって。
「少しだけ、私のことも聞いてくれる？」
「…うん」
「私が、お父さんとお母さんの家族じゃなくなったのは、二人が私と一緒にいたくないと思ったからだと思うんだ」
「…」
「私はまだ二人が大好きだけど…お互いに思い合わないと、家族にはなれないんだね」
「…風介は、新しい家族が欲しいと思うのか？」
「分からない…でも、お日さま園の皆といるのは楽しい。今、晴矢君と話してるのも。だから、家族にもなれる気がする」
私が晴矢君の顔を見ると、晴矢君は目を逸らす。けど、少しだけ笑ってくれた。
「俺、お前はかしこくて嫌なやつだと思ってたけど、そんなことなかった」
「…ひどいよ、晴矢君」
「あとそれ、やめろよ。晴矢君とか気持ち悪いし。お前が頑張ろうとしてるなら…俺も頑張る。お前に負けるの、何か悔しいから」
何でか分からないけど、晴矢は私のことをライバル視した。それでも、晴矢が笑ってくれたから、私も笑った。
その日から私達はいつも一緒にいる。喧嘩もするし、晴矢は私のことを嫌いだとか言うけど、一緒にいて悪い気はしない。
むしろ、居心地がいいんだ。晴矢は、お日さま園で初めて家族になった人だと思う。
晴矢と色んなことをしてると、お父さんやお母さんといたときより、私が私らしくいられていることに気付いた。
お日さま園に来て良かったって、やっとそう思えるようになれたから…皆はもう、私の家族だよね。
「晴矢。今日は勉強しようよ」
「嫌だっ、晴れてるし外で遊ぼうぜ！」
「…うん。それもいいね」
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輝(プロフ) - かなりさん» ありがとうございます！初めてランキング入りした思い入れの強い作品なので、そう言っていただけて嬉しいです(* ´ ▽ ` *) (2020年4月30日 23時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで最後の絵が上手でとても面白かったです！また読み返してみたいと思います！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます(о´∀`о)完結できたのは皆様のお陰です。また新作も始めようと思ってますので、是非そちらも宜しくお願い致します(°▽°) (2017年4月3日 11時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!また作者様のイナズマイレブン（個人的にはまた風丸さんを）拝見できる日を楽しみにしています!本当にお疲れ様でした! (2017年4月2日 23時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
narumickey(プロフ) - お返事ありがとうございます！じゃあまた作品が出来た時に読みます(^^)これからも頑張って下さい(っ´ω`c) (2017年4月2日 18時) (レス) id: 985c8767ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年2月12日 12時
