◇家族になれた日★ ページ7
「…涼野、風介です」
お日さま園。ここが、私の新しい家。お父さんとお母さんは私を車から降ろして、手を振ってバイバイって言った。だから、私も手を振った。
もう二人は、迎えに来てくれないのかな。
でも、お母さんは私に一人でも良い子にしていなさいっていつも言っていたから、私は一回も泣かなかった。
その代わり、沢山勉強した。お父さんが勉強しろって買ってくれたドリルだから、ここでも寂しくならないように、リュックサックの中に入れたんだ。
全部やってしまっても、やっぱりお父さん達は来てくれなかった。そのとき思った。お日さま園の皆が、私の新しい家族なんだって。
悲しいけど、仕方ない。私は新しい家族と、仲良くなろうと頑張った。
「皆さん、新しい家族です。自己紹介、出来ますか？」
「…」
無言で首を振った赤い髪の男の子は、私と同じくらいの年だ。
私の新しい父さんや、他の子が話しかけても殆ど話さなかった。そんなあの子を見て、私は腹が立った。黙ったままでいるのは、わがままだ。
私は人にわがままを言わないようにって、ずっとお母さんに言われていた。だからあの子がしていることは、悪いことなんだ。
「…ねぇ」
「…」
「晴矢君」
「…」
「皆を無視して、なにがしたいの？」
黙ったまま、しゃがんでいる晴矢君。私はずっと待ってた。晴矢君が口を開くまで。
「…」
「…」
「…ほっといてよ」
「ほっとけない。だって私達は家族になったんだ」
「っ…お前なんか家族じゃないっ！」
「…ならなきゃいけないんだよ」
「家族なんていらない！！皆俺を捨てるんだ、いらない子だって…！」
晴矢君は急に大声を上げて、泣いてしまった。父さんは私の頭を撫でてくれたし、晴矢君の頭も撫でてた。
「父さん。私達は、新しい家族にならなければいけないんでしょ？晴矢君は悪い子だよ」
「ならないといけない訳じゃない。家族になりたくなかったら、無理にならなくて良いんだよ。風介が一緒にいたいと思えた人が、風介の家族なんだ」
父さんが手を繋いで言ってくれたその言葉は、しばらく私の頭を埋めてしまった。
私とお父さん達が家族じゃなくなったのは、なぜなんだろう。だって私は、お父さんともお母さんとも一緒にいたかった。
…私は皆と一緒にいたいのかな。いつか家族になりたいって、思えるのかな。
「…風介」
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輝(プロフ) - かなりさん» ありがとうございます！初めてランキング入りした思い入れの強い作品なので、そう言っていただけて嬉しいです(* ´ ▽ ` *) (2020年4月30日 23時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで最後の絵が上手でとても面白かったです！また読み返してみたいと思います！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます(о´∀`о)完結できたのは皆様のお陰です。また新作も始めようと思ってますので、是非そちらも宜しくお願い致します(°▽°) (2017年4月3日 11時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!また作者様のイナズマイレブン（個人的にはまた風丸さんを）拝見できる日を楽しみにしています!本当にお疲れ様でした! (2017年4月2日 23時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
narumickey(プロフ) - お返事ありがとうございます！じゃあまた作品が出来た時に読みます(^^)これからも頑張って下さい(っ´ω`c) (2017年4月2日 18時) (レス) id: 985c8767ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年2月12日 12時
