★○◇◯ ページ48
「…やっぱり、寂しいって思う？」
「え？」
「俺はさ、自分の本当の名前を知らない。お日さま園に来る前、何処に居たのかも分からない。だから…親のこととか、何とも思えないんだ」
そう言えばそうだ。ヒロトは俺が来る前からずっとお日さま園に居る。名前も父さんが付けたって風介から聞いてた。
最初は父さんとヒロトは本当の親子だと思ってたけど、一緒に過ごすうちに、何となくそうじゃないことにも気付いた。
本当はどうか分かんねぇけど、隣のヒロトの目は何か切なかった。
「寂しくはねぇよ。でも…俺には分からない幸せがあるって」
「うん…」
「親の温もりとか、そういうの知らないし…それが、何か嫌って言うか」
「…そうだね。俺も前は、あぁやって幸せそうなの見ると、自分が不幸だって思ってしまった」
ヒロトは少し微笑んで、走り回る子供を見ていた。
自分からこの話を振っといて、段々変な感じがしてきた。親がいないことが当たり前で生きてきた。一緒に過ごしてきた。
だから、こうやって話すのがくすぐったいような。
「でも、今はそんな風に思わない。俺は全然不幸じゃない。むしろ幸せだと思うんだ」
「何で？」
俺だって自分が不幸だとは思っていない。でも俺はヒロトにそう聞いた。何となく、聞きたかったから。
俺達と過ごすことを、ヒロトはどう思ってるのか。
「親からの温もりや愛は感じられなくても、俺にとって、皆と居ることが一番の幸せなんだ」
「…臭いこと言うな、お前」
「えっ、酷くない？」
俺は立ち上がってボールを蹴った。少し綻んでた口元を隠すためなのは、ヒロトにはバレてないと思う。
「ヒロト、二人が戻ってくるまで練習付き合え」
「晴矢のことは教えてくれないの？」
「…嫌だ」
俺は敢えてヒロトの方に背を向けた。そしたら視線の先で、風介とAが走ってくるのが見えた。
「晴矢ーっ、ヒロトーっ！お待たせ！」
「すまない。新作のアイスに迷っていた」
「遅ぇよお前ら！」
俺が親と過ごす幸せを感じられないのと同じように、俺の幸せはきっと他の人じゃ知ることが出来ない。
俺には皆が居る。形は違えど、ちゃんと家族が居る。それが俺の幸せだと思う。
…自分で言うのも、やっぱ恥ずかしいな。
「何ニヤけてるんだ、晴矢」
「るせぇな。待たせたお詫びにアイス分けろよ」
「断る」
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輝(プロフ) - かなりさん» ありがとうございます！初めてランキング入りした思い入れの強い作品なので、そう言っていただけて嬉しいです(* ´ ▽ ` *) (2020年4月30日 23時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで最後の絵が上手でとても面白かったです！また読み返してみたいと思います！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます(о´∀`о)完結できたのは皆様のお陰です。また新作も始めようと思ってますので、是非そちらも宜しくお願い致します(°▽°) (2017年4月3日 11時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!また作者様のイナズマイレブン（個人的にはまた風丸さんを）拝見できる日を楽しみにしています!本当にお疲れ様でした! (2017年4月2日 23時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
narumickey(プロフ) - お返事ありがとうございます！じゃあまた作品が出来た時に読みます(^^)これからも頑張って下さい(っ´ω`c) (2017年4月2日 18時) (レス) id: 985c8767ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年2月12日 12時
