○朝ごはん◯ ページ29
「おはよう、A」
「あっ、ヒロト。おはよう！」
「朝ごはんはもう食べたの？」
「うん。お姉ちゃんが作っていってくれたよ。ヒロトの分、温めるね！」
「ありがとう」
ガゼルは練習でもう居ない。バーンはまだ寝ている。ガイアの練習は昼間だから、朝はゆっくり過ごせる。
自分のコップとお箸を取って椅子に座る。レンジの機械音が響くと、Aが朝ごはんを目の前に置いてくれた。
Aがよそってくれたであろう白ご飯は、お茶碗の中で山を作ってる。
「ありがとう。…でも、ご飯多くない？」
「ヒロトは男の子だからしっかり食べなきゃ」
「まぁ、そうだけど…」
「今日も練習大変だろうから…ちゃんと食べて」
心配そうな顔で俺の目を見るから、断れなくて俺は頷く。いただきますって言ったら、にっこり笑って召し上がれ…だって。
朝ごはんの時、一緒に居てくれるのは彼女だけ。Aがいなかったら、朝はもっと寂しいんだろうな。
「昨日の怪我は大丈夫なの、A？」
「…うん、大丈夫」
「そっか、よかった」
「今日の練習行きたくないなぁ…」
最近、Aはよく弱音を吐くようになった。俺はそれが心配でならないけど、父さんは絶対。だから俺は聞くことしか出来ない。
ウルビダは段々Aへの当たりが強くなって…正直、今のAは見ていて辛そうだ。
「私はいつまでも、皆と笑っていたいのにな」
「…これが俺達のやるべきことだ。父さんの為なら、俺はどんなことでもやれるよ」
Aは黙りこんで俺の手元を見つめる。俺はそんな彼女を気にしながら、お箸を口元に運んだ。
暫くお互い何も話さなかった。俺が黙々と食べ続けるのを、Aは静かに見つめていた。
「…そうだね」
「え…？」
「でも、私は皆みたいにいい子じゃない。…我が儘だから」
弱々しい声に、俺は彼女の顔を見つめた。…口元は微笑んでるけど、目は、とても悲しそうで。
だけど俺は…逆らえない。俺達は戦うんだ、父さんのために。
「父さんに迷惑はかけられない。あまり我が儘言っちゃダメだからね」
…言って後悔した。彼女は我が儘なんかじゃない。むしろ、自分以外のものを一番に思って…優しいことは、知ってた筈なのに。
「…そうだね。ごめんね、ヒロト…変なこと言って」
彼女の笑顔は、俺の胸を痛めた。
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輝(プロフ) - かなりさん» ありがとうございます！初めてランキング入りした思い入れの強い作品なので、そう言っていただけて嬉しいです(* ´ ▽ ` *) (2020年4月30日 23時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで最後の絵が上手でとても面白かったです！また読み返してみたいと思います！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます(о´∀`о)完結できたのは皆様のお陰です。また新作も始めようと思ってますので、是非そちらも宜しくお願い致します(°▽°) (2017年4月3日 11時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!また作者様のイナズマイレブン（個人的にはまた風丸さんを）拝見できる日を楽しみにしています!本当にお疲れ様でした! (2017年4月2日 23時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
narumickey(プロフ) - お返事ありがとうございます！じゃあまた作品が出来た時に読みます(^^)これからも頑張って下さい(っ´ω`c) (2017年4月2日 18時) (レス) id: 985c8767ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年2月12日 12時
