○＊ ページ12
「ヒロトが居なかったら、神月はもっと辛い思いしてたんじゃないかな」
「どうかな…俺は彼女のこと全然分かってあげられなくて、傷付けてばかりだったから…俺じゃなかった方が良かったのかなって、未だに思うんだ」
風丸君に返してもらった写真を見つめながら、俺は呟いた。写真の中のAは、少しはにかんで俺の隣に座っている。
この頃の記憶は、あまり良い記憶では無いけど …この写真は特別。Aに笑顔が戻った日の写真だから、ずっと持ち歩いてるんだ。
「そんなこと無いさ。ヒロトの話をするときの神月は、すごく嬉しそうなんだぞ」
「…そっか」
「ヒロトが思ってるよりもずっと、神月はお前に助けられてるし…ちゃんとヒロトの気持ちだって分かってる。だって、二人は家族なんだからさ。…他人の俺が言うのも変だけど」
そうやって笑ってくれる風丸君。つられて俺も微笑んだ。
「変なんかじゃないよ。風丸君は、Aにとって大きな存在だから。…ありがとう、Aの側に居てくれて」
「ヒロト…」
「今だから話せるけど、最初は風丸君に嫉妬してた。俺が一番Aのこと分かってるつもりだったのに…風丸君は彼女のこと、俺よりも理解してたから」
あの頃は色々なことで焦っていて…今考えたら、本当に馬鹿だった。自分が正しいと思い込んで、皆を否定してた。
「…嫉妬なら俺もしてたよ」
「え…？」
「ヒロトに比べたら小さい理由だけど」
風丸君は、苦笑いを浮かべて窓の外を見ていた。その横顔は、少し切なくて。
「初めてだったんだ、あんなに誰かのことで頭がいっぱいになるのは。…二人しか知らないあの時間が、俺にとっては特別なものだったんだ」
俺はただ彼を見つめていた。窓の外の月明かりを、Aと見た月に重ね合わせてるのかなって。
「だから、俺も彼女の特別な存在だったらなって。…けど、神月にはヒロトがいた。ちゃんと支えてくれる人がさ。だから、ちょっと嫉妬したんだ」
今度はいたずらっぽく笑って、風丸君はこっちを向いた。ぱっちり目が合うから、俺もまた笑う。
…そうか、風丸君も俺みたいに悩んでたんだね。
「俺達、案外似た者同士なのかもな」
「俺もそう思った。お互いのこと、全然知らなかったのにね。…俺、風丸君と会えて、本当に良かったと思う」
「なんだよそれっ」
風丸君には笑われたけど…これは、俺の本当の気持ちだよ。
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輝(プロフ) - かなりさん» ありがとうございます！初めてランキング入りした思い入れの強い作品なので、そう言っていただけて嬉しいです(* ´ ▽ ` *) (2020年4月30日 23時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで最後の絵が上手でとても面白かったです！また読み返してみたいと思います！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます(о´∀`о)完結できたのは皆様のお陰です。また新作も始めようと思ってますので、是非そちらも宜しくお願い致します(°▽°) (2017年4月3日 11時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!また作者様のイナズマイレブン（個人的にはまた風丸さんを）拝見できる日を楽しみにしています!本当にお疲れ様でした! (2017年4月2日 23時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
narumickey(プロフ) - お返事ありがとうございます！じゃあまた作品が出来た時に読みます(^^)これからも頑張って下さい(っ´ω`c) (2017年4月2日 18時) (レス) id: 985c8767ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年2月12日 12時
